雲の峰

デジカメ写真
季語の意味・季語の解説
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むくむくと盛り上がった夏の積乱雲を雲の峰といいます。
雲を高くそびえる山に見立てた言葉です。
夏は地表付近で温められた水蒸気がどんどん上空へ移動し、雲となって高々と膨れ上がっていきます。
季語随想
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でっかい雲の峰を見るたびに、「俺もでっかくなりてえなあ」って思うんです。
そして、すぐに気付くんです。
大きくなりたいと思うばかりで、小さな一歩を踏み出すことのできない、自分の勇気のなさに…
まずは一歩! 踏み出さなくては。
峰雲や先の先まで青信号 (凡茶)
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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雲の峰という季語は、その大きな膨れ上がりの背後に、さらに大きな青空の存在を連想させてくれます。
ですから、その大らかさを堂々と詠み、スケールの大きい俳句にしたいものです。
上に掲げた俳句、
峰雲や先の先まで青信号
は、大きい句を詠むことに、いくらかは成功した俳句であると、ちょっぴり自負しております。
また、雲の峰という季語には、そのモコモコとした姿からユーモラスな印象が宿っています。
ですから、地上の小さなものとうまく対比させると、どこかほほえましい俳句ができます。
芭蕉の門弟、宝井其角の次の句が、その例に当たるかもしれません。
船頭のはだかに笠や雲の峰 (其角)
なお、雲の峰という季語は、どこか儚さも感じさせます。
大きいけれど一日と持たない、その寿命が、そうさせるのかも知れません。
次は、江戸時代の俳人、小林一茶のものです。
しづかさや湖水の底の雲の峰 (一茶)
≪おすすめ・俳句の本≫
すらすら読める 奥の細道 立松和平著
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■ 今まで読んだ『奥の細道』の現代語訳の中で最高でした!
大きな字で書かれた原文のすぐ下に現代語訳があり、とても読みやすい本です。
芭蕉の訪問地ごとに添えられた解説も、著者による興味深い見解が随所に述べられていて勉強になります。
私はこの本を読んだ後、学生時代と教師時代を過ごした東北地方へ、改めて一人旅に出かけたくなりました。
これから『奥の細道』を読んでみようと思っている方に、最もお薦めしたい一冊です。
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