林檎(りんご) (秋の季語:植物)


林檎(りんご)
37秋の季語・植物・りんご(林檎)【イラスト】.jpg
        パソコン絵画


● 季語の意味・季語の解説

 晩秋から冬にかけて流通するが、単に林檎とした場合は秋の季語として扱われる。
 冬季の林檎であることを俳句の読者に伝えたいときは、冬林檎という冬季の季語を用いる。

 鮮やかな赤色が特徴で、それを意識した作品が多い。

  刃を入るる隙なく林檎高潮す (野澤節子)

 切って食べたり、丸かじりにしたりするほか、ジュースや菓子の材料ともなる。
 青森や長野で生産量が多い。

 なお、まだ赤く色づいていない青林檎は夏の季語。


● 季語随想

 林檎(リンゴ)の見た目と甘さについて。

 子供のころから、林檎は赤ければ赤いほど、甘いものなのだと思っていました。

 しかし、最近、林檎の赤さは、果皮が日焼けしたものであり、甘さとはあまり関係がないのだということを聞きました。

 と、いうより、赤く日焼けさせるために、果実の周囲の葉をむしり取ってしまった林檎よりも、葉をむしらずにたっぷり栄養を与えてやった、ところどころ黄色い林檎の方が、むしろ甘いものだと教わりました。

 林檎の甘さは、鮮やかな赤ではなく、赤の下地にある色で見極めた方がよいというのです。

 つまり、赤の下地がまだ緑がかったものは未熟で酸っぱく、黄色くなったものは、よく熟れて甘いのだそうです。

 私は、このことを知った分だけ、ちょっぴり人生を豊かにすることができました。

 「知る」ということは本当に素晴らしいことであり、「知らぬ」ということは、ずいぶん、損なことだとつくづく思います。

 これからも、「知る」ということには、貪欲であり続けたいと思います。

 「知りたい」と思う心がある限り青春です!


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 林檎の最大の特徴は、人目をひく外見です。

 深紅の大ぶりの実は、西洋から来た気品のある大人の女性のようであり、まだ赤の浅い小ぶりの実は、東北の農村から都会へやってきた少女のように可憐です。

 この、見る者の目に強い印象を残す林檎という語を季語として用いる場合は、大胆な取り合わせを心がけたいものです。

 林檎という強い季語に負けない、インパクトのある物、景色、状況を取り合わせてみましょう。

  林檎むく五重の塔に刃を向けて (野見山朱鳥)

  独房に林檎と寝たる誕生日 (秋元不死男)

  死顔や林檎硬くてうまくて泣く (西東三鬼)

  林檎のみあたらし瞽女のお仏壇 (西本一都)
      瞽女=ごぜ。三味線を携えて巡業を行う目の不自由な女性。

  夕映えへ林檎流るる最上川 (凡茶)

 ところで、林檎はとてもなじみ深い果物ですが、俳句の季語としては扱いづらい曲(くせ)者らしく、「林檎といったらこの俳句!」というような名句はまだ生まれてないように思います。

 ですから、あなたの詠んだ林檎の佳句が、日本のすべての林檎の句を代表する不朽の名句になる可能性もあります。

 とにかく多作を心がけ、いろいろな林檎の魅力を引き出してみましょう。



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 例えば、次の二句は、上五の名詞で一旦切り、座五の「けり」でも句末を切る形をしています。

  ●月天心貧しき町を通りけり  蕪村
  ●赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり  正岡子規

 次の二句は、形容詞の終止形で中七の後ろを切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●五月雨をあつめて早し最上川  芭蕉
  ●鐘ひとつ売れぬ日はなし江戸の春  其角

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posted by 凡茶 at 01:19 | Comment(0) | 秋の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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