余寒 (春の季語:時候)

     残る寒さ

余寒
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        デジカメ写真

● 季語の意味・季語の解説

 立春を過ぎても、なお残る寒さを余寒という。
 「春寒」「冴返る」なども暦の上で春になったあとの寒さのことを指しているが、特に「余寒」という季語は冬からのつながりを連想させ、寒々とした感じがする。


● 季語随想

 はじまりの時が、常に希望に彩られているとは限りません。
 はじまりの時は、「おそれ」や「ためらい」で胸がいっぱいになるものです。
 それが人間というものです。

 最近、私は、不安、躊躇、緊張などといった「陰の感情」を通り過ぎることなく、新しい何かに挑戦することは不可能であるとわかってきました。

 ですから、物事に挑む際には「陰の感情」を押し殺すのではなく、「陰の感情」を「春のはじまりの余寒」と捉え、受け入れことにしました。

 余寒のあとに必ず暖かい春がやってくるように、「おそれ」や「ためらい」といった卵は、必ず「希望」という雛を孵すものです。


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 「余寒」という季語は、やはり、どこか陰鬱なイメージを帯びています。
 待ちに待った春になっても、まだ厳しい寒さが残っていることに対して、ため息をつきたい。
 しかし、ため息をついても仕方がないから、黙って寒さを受け入れる…
 そんな陰鬱さです。

 以下の俳句にも、そんな陰鬱さが漂っています。
 ただし、その陰鬱さは、暑い時期のじめっとした陰鬱さとは異なります。
 寒い時期ならではの乾きを伴う陰鬱さです。

  情なふ蛤乾く余寒かな (炭太祇)
      蛤=はまぐり。

  底叩く音や余寒の炭俵 (黒柳召波)

  吊れば鳴る明珍火箸余寒なほ (飯田蛇笏)
      明珍火箸=みょうちん・ひばし。火箸は火鉢や囲炉裏に炭を足したりするための箸であるが、明珍火箸は、姫路の伝統工芸品。

 次の私の俳句も、余寒という季語の持つ陰鬱さを味付けに詠みました。
 ただし、陰鬱さと合わせて、胎動する春のエネルギーのようなものも表現したつもりです。

  不発弾吊られ余寒の土落とす (凡茶)



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 例えば、次の二句は、上五の名詞で一旦切り、座五の「けり」でも句末を切る形をしています。

  ●月天心貧しき町を通りけり  蕪村
  ●赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり  正岡子規

 次の二句は、形容詞の終止形で中七の後ろを切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●五月雨をあつめて早し最上川  芭蕉
  ●鐘ひとつ売れぬ日はなし江戸の春  其角

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posted by 凡茶 at 03:48 | Comment(0) | 春の季語(時候) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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