春の海 (春の季語:地理)

     はるのうみ

春の海
13春の季語・地理・春の海(ウェブ).jpg
        フィルム写真をスキャナーにて取り込み


季語の意味・季語の解説
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 穏やかな春の海は日の光を弾いて輝き、まるで、無数のダイヤモンドを散りばめたようである。

 悠然として眩しい春の海を詠んだ俳句は、やはり大らかで、かつ、きらきらしている。

 春の海は、何度でも用いたい代表的な春の季語である。


季語随想
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 春の海を眺めていると、「かもしれない」を捨てて、何かに挑戦する勇気が湧いてくる。

 失敗するかもしれない…
 今の平穏を失うかもしれない…
 自分の限界を知ってしまうかもしれない…

 そんな「かもしれない」という舫い杭を引き抜いて、雄大な海に漕ぎ出してみたくなる。
 海の向こうの大陸を見てみたくなる。

 広くて、穏やかで、眩しい春の海を眺めていると、いつの間にか、自分の顔が男の顔になっている。

  親鳥の舞ふ洞の外の春の海 (凡茶)
      洞=ほら 外=と


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 他のものと取り合わせずに、季語にあたる事物だけをビシッと詠みあげた俳句を、一物仕立ての俳句といいます。

 次の俳句は、別のものを持ちこまずに、春の海だけをずばりと詠んだ与謝蕪村の名句です。
 一物仕立ての俳句を代表する不朽の名作と言っていいでしょう。

  春の海終日のたりのたり哉 (蕪村)
      終日=ひねもす 哉=かな

 この俳句からは、春の海のゆったりした様、広がり、光、エネルギーなどの全てが伝わってきます。

 これだけの一物仕立ての俳句を蕪村が創ってしまったので、私は、「春の海」という季語を用いる時は、「取り合わせの俳句」を作るので精一杯です。
 春の海という季語の持つ、雄大さ、静かさ、眩しさと響きあう事物を用いて、一句を仕上げるようにしています。

  照れくさきプレゼント着て春の海 (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



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posted by 凡茶 at 01:12 | Comment(0) | 春の季語(地理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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