春待つ (冬の季語:時候)

     春を待つ 待つ春 待春(たいしゅん)

春待つ
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        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 寒い寒い冬のさなかに、暖かい春を待つこと。

「春近し」が身近に迫った春を実感しているのに対し、「春待つ」は冬の寒さに耐えながら春に思いを馳せている。


季語随想
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 人生にも必ず冬は訪れる。
 誰にも必ず辛い時がある。

 そんな時、はじめから気丈にがんばることはない。
 明るく振る舞うことはない。

 愚痴をたれる相手がいるならたれればいい。
 泣きたきゃ、部屋に逃げ込んでむせび泣くのもいい。
 買ったばかりのノートに八つ当たりしたっていい。

 はじめは「冬嘆く」でいい。
 そんな季語は無いんだけれど…。

 そのうち嘆くことが馬鹿らしくなってきたら、
 今度はじっと耐えればいい。

 思えば私が尊敬している人たちは、みんな耐えるということを知っている人。
 みんな何かに耐えてきた人たちなんだよな…

 嘆くだけ嘆いたあとは「冬耐ふ」で。
 そんな季語も無いんだけれど、いい言葉でしょ?

 冬の寒さを耐え続けていると、心は自然と春に向くようになる。

 冬を耐えていた心は、おのずから春を待つ心へと姿を変えていく。

 「冬耐ふ」は「春待つ」のさなぎなのだ。

 春待つ… いい季語だ。いい言葉だ。

 冬のさなかに春を待つ心さえ芽生えれば…
 人は春をたぐり寄せるために、動き始めることができるものだ。

 春を待つ心が芽生えてくるまで、
 じっと冬を耐え続けよう。

  春を待つ引き出しの石握りしめ (凡茶)


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 「春待つ」という季語は抒情的な季語です。
 ですから、それ以上の感情は述べようとせず、物に託して春を待つ心を表現したいと思います。

 江戸時代の僧で俳人の浪化は書物の小口(こぐちとは、書物の背でない側。指でページをめくる側)、同じく江戸時代の俳人小林一茶は犬の張り子(紙で作った中空の人形)、そして私は小さな石ころに託して、春を待つ心を詠みあげました。

  待つ春や机にそろふ書の小口 (浪化)

  口あけて春を待つらん犬張子 (一茶)

  春を待つ引き出しの石握りしめ (凡茶)



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posted by 凡茶 at 01:48 | Comment(1) | 冬の季語(時候) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「春を待つ」素敵な季語ですね。
1月に使ってもよいのかわからないですが
考えてみたいと思います。
Posted by みる at 2011年01月20日 15:10