雪女 (冬の季語:天文)

     雪女郎

雪女
42冬の季語・天文・雪女.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 雪女は、雪国に現れる女の妖怪。
 雪女伝説は東北日本を中心に各地に残っており、白い衣を来た若い女であったり、老女であったりする。

 冬の間、保存食を囲炉裏で少しずつ温めながら、雪解けの季節を待っていたかつての雪国の人々は、吹雪の夜など、リアルに雪女を想像し、それを子や孫へと語り継いでいったのだろう。

 雪の東北を旅している際、無人駅などで髪の長い女を見かけたりするとドキリとするが、もしかすると雪女は実在するのかもしれない。

 江戸時代から詠まれてきた伝統ある季語。 


季語ばなし
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 大学院生の頃、他に誰もいなくなった夜の研究室で、外国の論文を和訳していたことがありました。
 外はひどい吹雪で、私はアパートに帰ることをあきらめ、一晩を研究室で過ごすつもりでいました。

 深夜の一時を過ぎ、私が机でうとうとしていると、髪の長い見慣れぬ女子学生が研究室を訪ねてきました。
 どうやら、外から私の研究室の灯りを見つけて訪ねて来たのでしょう。
 肩には雪を被っていました。

 清楚な子でしたが、鮮やかな口紅をしていて、印象的でした。

 独和辞典があったら貸してくれないかということでしたので渡してやると、彼女は丁寧にお辞儀をして出ていきました。

 明くる朝、吹雪はすっかりやみ、外は眩しい雪晴れでした。
 アパートへ戻って仮眠を取ろうと、帰り支度を始めると、独和辞典が研究室の真ん中のテーブルの上に戻されているのに気付きました。

 辞典の横には銀紙で包んだ三粒のチョコレートが置いてありました。
 おそらくあの女子大生が、私のために持ってきてくれたのでしょう。
 どうやら、わたしがまどろんでいる間に、彼女が辞典を返しに来てくれたようです。

 私は、大学内で再び彼女を見つけたら、チョコレートのお礼を言おうと、意識して髪の長い女子学生を探すようになりました。
 しかし、あの夜以来、一度も彼女と会うことはありませんでした。

  火の如く口紅させり雪女 (凡茶)


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 雪国で出会った美しい女性を、雪女に見立てて俳句を詠んでみると面白い句ができるかもしれません。

  箸先のいくら見てゐる雪女 (凡茶)

 また、雪の夜、部屋などに一人でいると、それが音の無い静かな雪の夜であっても、風がびゅうびゅうとなる雪の夜であっても、なんだか、だんだん心細くなってくるものです。

 この心細さは、実は、姿を変えた雪女なのかもしれません。

 自らの心の中に雪女が現れたら、目に飛び込んできた光景をそのまま詠んでやるだけで、ぞくぞくと寒くなるような、俳句が生まれるかもしれません。

  雪女去れば転がる螺子一つ (凡茶)
      螺子=ねじ。 


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posted by 凡茶 at 06:07 | Comment(1) | 冬の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
凡茶様 本日、初めてブログを拝見させていただき大変
為になりました。私の歳時記には、「冬銀河」という季語を載っておらず、検索してみたのです。また「雪女」
という季語の使い方が今まで分かりませんでしたが、興味深く読ませていただきました。凡茶様は大学の教授様
なのでしょうか?私の下手なブログ俳句には、どうかご容赦ください。これからも、拝見したいと思います。
Posted by chikkabanと申します at 2011年01月26日 17:53