寒施行(かんせぎょう) (冬の季語:行事)

     野施行 穴施行

45冬の季語・行事・寒施行【イラスト】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 餌が乏しくなる寒中に、キツネやタヌキなどの野獣に食べるものを施す年中行事。
 京阪神を中心に本州西部に見られる。


 主に夜間、キツネの好物とされる油揚げのほか、小豆飯、握り飯、豆腐などを、野、田畑、稲荷の祠などに置く。
 食べ物を巣穴に置くこともあるので、穴施行とも呼ばれる。

 施した食べ物がなくなっていると、その年は豊作になると言われ、子供たちが狐を真似て食べて回ったりもする。  


季語随想
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 私の地元には寒施行の風習が無いので、この行事のことは俳句をやるようになってから歳時記で知った。
 ずっと守り続けてほしい、素晴らしい行事だと思う。

 日本の昔話には、キツネやタヌキなどの野生動物が、擬人化され、あるいは、霊的な力を秘めたものとしてよく登場する。
 古来、日本人にとって野生動物は、文明を脅かす拒絶すべき存在ではなく、人間生活と有機的に結び付き、ときに神秘的な恩恵を与えてくれる親しい存在であった。

 私は幼いころ、よく母に日本の昔話を読んで聞かされたため、キツネ、タヌキなどの野生動物に、自然とシンパシーを感じるようになっていった。
 そんな野生動物への親しい感情が、自然と文化の結びつきに対する興味・関心につながり、やがて俳句を生み出す原動力へと変化したのかもしれない。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 寒施行の風習が無い所に生まれ育った私には、寒施行の現場を実際に見て俳句を詠むことは難しいように思われます。

 しかし、この素晴らしい風習を後世に伝えるためにも、積極的に寒施行という季語で俳句を詠んでみたいと思います。

 キツネやタヌキなどのために食べ物を供えて回る当事者になったつもりで、次の二句を作ってみました。

  熊ほどの雲の来てゐる寒施行 (凡茶)

  月よぎる鳥多き夜や寒施行 (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

新版20週俳句入門 藤田湘子著
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■ どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになる本です

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 この本は、
   〔型・その1〕 季語(名詞)や/中七/名詞
   〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
   〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
   〔型・その4〕 季語/中七/動詞+けり

 の4つの型を、俳句を上達させる基本の型として、徹底的に読者に指導してくれます。

 これらをしっかり身につけると、どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになるでしょう。

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posted by 凡茶 at 01:27 | Comment(0) | 冬の季語(行事) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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