
デジカメ写真
● 季語の意味・季語の解説
立春を過ぎて間もない頃は、日々の生活の中にも、それを包む自然にも、まだまだしっかりと冬が居座っているものです。
そんな状態を俳句では春浅しと表現します。
ただ、そんな浅い春でも、景観や暮らしの中に、時折ではありますが、やんわりとにじみ始めた春色を感じ取ることができるようになります。
● 季語随想
春のまだ浅い頃は、寝る前にその日見つけた小さな春を、ノートに箇条書きにしてみましょう。
いつも気難しい先生が、音の高いしゃっくりをした。
定食についてきた奈良漬けが、お菓子のように甘かった。
コンビニで引いたはずれくじのイラストが、妙にあいくるしかった。
いつも手ごわい将棋のライバルの歯に、青海苔がくっついていた。
そんなささやかな春でいいのでノートに箇条書きにしていきましょう。
日に日に、書き並べる春の数が増えていくことでしょう。
やがて、書くべき春の数が増え過ぎて大変になってきたら、もはや浅春ではありません。
あなたを包み込む時空も、あなた自身もすっかり麗らかな春です。
春を積極的に見つけようとした人には、他の人より先に本格的な春が訪れます。
不思議なものです。
● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方
「春浅し」は、まだ春が十分に整っていない状態を指す季語です。
とは言うものの、俳句にこの季語が詠み込まれる際には、「浅くともとにかく始まった春」が、しっかり表現される必要があります。
長く続き、まだまだ去る気配の無い寒さの中に、「はじまりの明るさ」を感じとることのできる景を見出して、俳句にしてみましょう。
春浅き麒麟の空の飛行雲 (三好達治)
麒麟=きりん。
浅き春卵の化石拾ひけり (凡茶)
おばけ沼浅春の雨弾きをり (凡茶)
≪おすすめ・俳句の本≫
佳句が生まれる「俳句の形」 凡茶
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さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。
例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。
●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)
また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。
●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)
筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。
●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
●露の玉工場ドスンと始まりぬ(凡茶)
この本は、こうした佳句の生まれやすい美しい俳句の形を、読者の皆様に習得していただくことを目的としています。
なお、この本は、前著『書いて覚える俳句の形 縦書き版/横書き版』(既に販売終了)を、書き込み型テキストから「純粋な読み物」に改め、気軽に楽しめる形に書き変えて上梓したものです。
あちこち加筆・修正はしてあるものの、内容は重複する部分が多いので、すでに前著『書いて覚える俳句の形』をお持ちの方は、本著の新たな購入に際しては慎重に検討してください。
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Kindle(キンドル)本とは、Amazonで購入できる電子書籍のことです。
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新版20週俳句入門 藤田湘子著
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■ どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになる本です
昭和63年に出された旧版『20週俳句入門』があまりにも優れた俳句の指導書であったため、平成22年に改めて出版されたのが、この『新版20週俳句入門』です。
この本は、
〔型・その1〕 季語(名詞)や/中七/名詞
〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
〔型・その4〕 季語/中七/動詞+けり
の4つの型を、俳句を上達させる基本の型として、徹底的に読者に指導してくれます。
これらをしっかり身につけると、どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになるでしょう。
王道の俳句を目指す人も、型にとらわれない斬新な俳句を目指す人も、一度は読んでおきたい名著です。
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