猫の恋 (春の季語:動物)

     恋猫 恋の猫 浮かれ猫 猫交る(ねこさかる)
     孕み猫(はらみねこ) ねこのつま(猫の妻・猫の夫) 

16春の季語・動物・猫の恋【イラスト】.jpg
        絵画をスキャナーにて取り込み


季語の意味・季語の解説
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 春は猫の発情期。
 つま恋の際には、人間の赤ん坊のような声で鳴きあう。
 雄が雌を奪い合って大喧嘩をすることもあり、時に飼い猫が野良猫との闘いに敗れて帰ってきたりすると、愛おしくもあり、情けなくもある。
 また、知らぬ間に雌の飼い猫が仔を孕んだりして、父親と思しき野良が憎たらしくなったりする。


季語随想
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 人はなぜ猫を可愛がるのだろう?
 体の大きさ、丸い顔と胴体とのバランス、丸まった手などが人の赤ん坊によく似ていて、母性本能をくすぐるのかもしれない。
 また、餌などを与えるとすぐになつき、直接的に親しみを表現してくるあたりが、愛くるしいのかもしれない。

 そんな可愛い猫たちも、春の発情期には、見たくなかった野生の部分を、嫌というほど見せつけてくれる。

 わが家の雌猫も今はすっかり年をとって落ち着いたが、若い頃は、よく雄猫をおびき寄せては騒ぎを起こした。
 怪しげな声で鳴いて雄を誘い、屋根の上でドタバタと追い追われ、契り、時には袖にした雄を大声で追い返し…
 飼っている側としては、真夜中にそれをやられると、近所迷惑が気になってしかたがなかった。

 ところで、人間は、行き過ぎた嫉妬心や独占欲によって周囲を思いやる心を失い、本来は美しいはずの恋する日々を、人として台無しにしてしまうことがある。
 猫の恋はかなり直情的であるが、彼らにも嫉妬心や独占欲なるものが存在しているのだろうか?

 見たところ、猫にもささやかな嫉妬心や独占欲があるように思えるが、それは人間と暮らすうちに強まっていく性(さが)である気がしてならない。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 当の猫たちは真剣に求愛し、闘い、傷ついているのですが、人間として傍から見ていると、やはり猫の恋はユーモラスなものです。
 だから猫の恋を詠んだ俳句の多くは、どこかにユーモアを含んでいます。

  恋猫の手描き地図には無き路地へ (凡茶)

  鞠残し鏡の外へ恋の猫 (凡茶)

  恋猫のびつくり箱を倒しけり (凡茶)

 また、猫の恋は俳諧でも多く詠まれました。
 江戸時代の句を二句紹介します。

  うらやましおもひ切時猫の恋 (越智悦人)
      おもひ切時=思いきる時

  猫の恋初手から鳴いて哀なり (志太野坡)


≪本の特集・猫好き以外は読まないでね。≫




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posted by 凡茶 at 17:56 | Comment(0) | 春の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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