梅見 (春の季語:生活)

     観梅(かんばい)

14春の季語・生活・梅見【俳句】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 梅の花を観賞しに出かけること。
 また、その馥郁(ふくいく)たる香りを楽しむこと。
 桜の花見は「花より団子」になりがちだが、梅見の主役はやはり「梅の花」である。


季語随想
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 ずっと昔のことですが、大学へ進学する弟の引っ越しを手伝うために、家族で大阪を訪れたことがあります。
 引っ越しを済ませた後、大阪城の梅を皆で観賞しました。
 
 おそらく周りには、梅見客の関西弁が、それはもう賑やかに飛び交っていたはずです。
 
 しかし、今、あの日のことを振り返ると、脳裏には、なぜか閑かさの中に咲く梅の花だけがよみがえってきます。
 
 周囲は笑い声や話し声で満たされていたはずなのですが、それらは全て梅の幹や枝に吸収され、可憐な花と馥郁たる香りだけが思い出されるのです。
 梅の花には、観ているその時だけではなく、その後何年にもわたって人の心に閑かさをもたらす、不思議な力が宿っているようです。

 梅の花が喧噪を記憶から消し去ってくれたためか、私は、そのとき両親の胸の中にあった一抹の淋しさを、今でも自分の感情のように思い出すことができます。
 それは、初めて弟と離れ離れに暮らすことになる親の淋しさです。
 両親は、私が一人暮らしを始める際にも、きっと同じような淋しさを胸に満たしていたことでしょう。
 梅はまた、淋しさのよく似合う花でもあります。
 
 菅原道真が京から太宰府に左遷される際に詠んだ歌をここで紹介します。

  東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな (菅原道真)

 なお、道真の梅の木は、その後「飛梅(とびうめ)」となって、京から太宰府に飛んでいき、大宰府で再び咲き匂ったという言い伝えがあります。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 梅見は楽しい行事です。
 心がうきうきします。
 しかし、梅見は静かに行いたいものです。
 静かに花を愛で、静かに香りを楽しみ、心を癒したいものです。

 ですから、梅見を季語に俳句を詠む場合は、「うきうき」しつつも、「しずか」な一句を仕上げるよう、心がけています。

  薬飲む白湯を所望し梅見茶屋 (凡茶)

  観梅や旧式カメラ首に提げ (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

新版20週俳句入門 藤田湘子著
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   〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
   〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
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posted by 凡茶 at 18:23 | Comment(0) | 春の季語(生活) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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