犬ふぐり (春の季語:植物)

     おおいぬのふぐり いぬのふぐり イヌフグリ

犬ふぐり(オオイヌノフグリ)
17春の季語・植物・犬ふぐり.JPG
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 道端、土手、野原など至る所に咲く小さな青い花。
 最もよく目にするオオイヌノフグリは外来種で、明治の初めころ日本に入ってきた。
 可憐な花であるが、名前の由来は「犬の持つふぐり」、すなわちオス犬の陰のうである。
 花弁の形が似ていると言われれば似ているが、子供の頃、それを初めて知ったときはいささか驚いた。


季語随想
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 子供の頃、私の暮らす町には、斜面いっぱいに青い犬ふぐりの花を咲かせる、日当たりの良い土手がありました。
 しかし、その土手は、ある時を境に、犬ふぐりの花を全く咲かせなくなりました。
 道をはさんだ向かい側に大きな建物が建ち、土手に日が当たらなくなったためです。
 春になっても、犬ふぐりどころか、草も生えなくなった土手の横を過ぎるたびに、幼い私は、強い喪失感を覚えました。

 これと似たような風景喪失の経験を、大人ならば誰もが一つや二つはしているはずです。
 私も、大人になる過程で、いや大人になってからも、たくさんの愛着ある風景を失ってきました。
 そして、そのたびに、胸に穴の開くような喪失感を覚えてきました。

 そうした喪失感を埋めようとする心の営みが、私に俳句を作らせるのかもしれません。
 空いた穴を塞ごうとする心の自己治癒力が、私の創作意欲の源泉なのかもしれません。
 

季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 犬ふぐりは、どこにでも咲く日常的な花です。
 ですから、この季語には、あえて、ささやかな非日常の光景をとり合わせてみましょう。
 犬ふぐりという日常が、非日常のよい引き立て役となります。

  候補者の顔に落書き犬ふぐり (凡茶)

 犬ふぐりという小さな花を、大景と取り合わせてみるのも面白いでしょう。
 大と小の対比が、俳句によい効果をもたらすかもしれません。

  半島は嵐の外へ犬ふぐり (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

新版20週俳句入門 藤田湘子著
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 昭和63年に出された旧版『20週俳句入門』があまりにも優れた俳句の指導書であったため、平成22年に改めて出版されたのが、この『新版20週俳句入門』です。

 この本は、
   〔型・その1〕 季語(名詞)や/中七/名詞
   〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
   〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
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 の4つの型を、俳句を上達させる基本の型として、徹底的に読者に指導してくれます。

 これらをしっかり身につけると、どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになるでしょう。

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posted by 凡茶 at 18:35 | Comment(0) | 春の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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