引鴨(ひきがも) (春の季語:動物)

     鴨引く 鴨帰る 行く鴨 

16春の季語・動物・引鴨【俳句】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 春になり、北方へ帰っていく鴨の群れのこと。
 鴨は越冬のために秋に日本にやってくるが、暖かくなると繁殖地の極東ロシア方面へ戻っていく。


季語随想
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 引鴨を目にするたびに心配になります。
 来年も日本にやって来てくれるだろうかと。
 
 鴨たちは極東ロシアの冬の厳寒を逃れるために暖かいはずの日本へやってくるわけですが、なんだか今の日本はそんなに暖かい国ではないような気がするもので…
 
 今の日本人は、自分たちとは異質な存在であるとみなしたものに対し、暖く接することができなくなっているような気がしてなりません。
 なんだか日本はとっても寒い国になってしまったような気がしてなりません。

 そんな国に、わざわざ鴨たちは渡って来てくれるでしょうか…

 いや、これは私の考えすぎでありましょう。
 そもそも鴨たちの世界には国境などというものはないのですから。

 鴨たちは日本という国にやってくるわけではないのです。
 より過ごしやすい地球上の一地点から一地点へ、渡ってくるだけなのです。
 鴨たちにとって、我々は日本人ではなく、世界中に散らばっている人間の一部に過ぎないのです。 


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 鳥が繁殖地へ帰っていく姿を見ると、やはり淋しくなります。
 江戸時代に詠まれた次の句も、寂寥感で満たされています。

  引鴨や朝和つづく舟のみち (胡準)
      朝和=あさなぎ。

 ただ、鴨は身近な鳥であるためか、それとも、お腹が丸くて愛らしいためか、北へ帰る姿にも、どこかユーモラスな部分があります。
 雁、鶴、白鳥などが帰っていく姿に比べ、淋しさの中にも、少しだけ微笑ましさがあるように感じます。

  引鴨や大工の休む寺の屋根 (凡茶)
 

≪本の特集・古池と蛙≫




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posted by 凡茶 at 17:03 | Comment(0) | 春の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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