踏青(とうせい) (春の季語:生活)

    青き踏む

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        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 踏青(とうせい)とは、春の野に出かけ、青々とした草を踏みしめて歩くことを言う。
 元々は中国で行事として行われていたが、俳句では、日常的な散策を指している場合がほとんどである。
 
 「青き踏む」とも表現し、むしろこちらの表現を用いた句の方が多い気がする。


季語随想
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 私が生まれ育ったのは工場の多い製造業の町であったため、子供のころ、緑と接する機会はあまりありませんでした。
 ですから、大学生として宮城県の仙台で暮らし始めた頃、「ここは随分と緑の多い町だなあ」と感じました。

 杜(もり)の都と呼ばれる仙台には、市民が気楽に憩うことのできる、緑地、野、丘、川原などが多く、私も度々踏青(とうせい)を楽しみました。
 もちろん学生の頃は、踏青という言葉自体は知りませんでしたが…

  対岸の歩幅に合はせ青き踏む (凡茶)

 私は、大学卒業後、しばらくの間、仙台の高校で教職に就いていました。
 そこで、生徒たちに、「仙台という地名から連想する色は?」と簡単な質問をしてみました。
 すると、ほとんどの生徒たちが、「緑」と答えました。

 仙台の子供たちは、自分たちの住んでいる杜の都を「緑の町」と自覚し、それを誇りとしているようでした。
 おそらく仙台は、これからも、住民たちによって、緑の町としてのアイデンティティを育み続けていくことでしょう。
 
 ところで、その他の地名からは、生徒たちはどのような色を連想したでしょう?
 覚えているものをいくつか、紹介します。

 京都は紫と金。なにか高貴な感じがするのでしょう。
 奈良は茶色。これは古い仏像の色でしょうか。
 沖縄は青。おそらく美しい海を思い浮かべたのでしょう。
 大阪は黄色。明るく賑やかな感じがするからかもしれません。

 面白かったのは東京。
 赤とか、黄色とか、灰色とか、いろんな色が生徒の口から出てきました。
 この多様性こそが東京の魅力なんだと思います。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 踏青(とうせい)は視覚で草の瑞々(みずみず)しい青さを感じ、足の触覚で春の土と草の弾力を感じ、嗅覚で踏まれた草の香りを感じながら行うものです。
 ですから、踏青を季語に俳句を詠む場合は、読み手(鑑賞者)が五感をフルに活用して味わい、その後、爽快感に包まれるような作品にしたいものです。

  土手の外の町を感じて青き踏む (凡茶)
      外=と。



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・ゆたかなる季語 こまやかな日本 宮坂静生著
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posted by 凡茶 at 16:35 | Comment(0) | 春の季語(生活) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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