蝶 (春の季語:動物)

     蝶々(ちょうちょう,ちょうちょ) てふ てふてふ
     胡蝶(こちょう) 初蝶 


16春の季語・動物ー蝶.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 蝶は春の季語とされる。
 日当たりのよい野原や畑などを、ひらひらと舞う姿はいかにも春らしい。

 花を見つけると止まって蜜を吸うが、人が近づくと、すぐにふわっと逃げてしまう。
 また、子供などに捕えられて翅(はね)を持たれると、すぐに弱ってしまう。
 ゆったりと生きているようで、どことなく「あはれ」を感じさせる虫である。

 なお、胡蝶(こちょう)は蝶の異称で、初蝶はその年の春、初めて見る蝶。

 また、揚羽蝶(アゲハチョウ)や黒揚羽のような大きくて鮮やかな翅を持つ蝶は、夏の季語とされる。 
 

季語随想
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 もしも、蝶の羽ばたきが、ブーン、ブーンとけたたましい音を伴うようになったら、さぞかし人目を引くだろう。
 しかし、今ほど好意を持たれることはないだろう。

 蝶が皆に愛されるのは、その舞いが、春の長閑な雰囲気を損ねることのない、静かなものだからだろう。

 近頃、多くの人に反感を買ってでも、とにかく目立つことをなりふり構わずやって、注目を集めようとする人たちが、政治や商売の世界に目立ち始めた。
 ブーン、ブーンと羽音を立てる人たちだ。
 それはそれで別に悪いことだとは思わない。
 その人たちには、その人たちの生き方がある。

 ただ、あたりの和やかさを乱すことなく、静かに、美しく、なすべきことに取り組んでいる、そんな蝶のような人たちが、政治や商売の世界で、全く日の目を見なくなったら…
 なんだか、すさんだ世の中になっていくのかもしれない。

 蝶の似合う春の無い、猛暑と厳寒の繰り返すような世の中に…


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 蝶という季語は、春の日の光、若い草や花、田や畑のある長閑な風景を背後に感じさせます。
 そうした、春の暖かさ、伸びやかさを、さらに増幅させるような俳句を作ってみましょう。
 初めの二句は江戸時代の句、あとの二句は私の俳句です。

  青空やはるばる蝶のふたつづれ (立花北枝)

  風の蝶消えては麦にあらはるる (松岡青蘿)
      ※この句は「あはれ」も強く感じさせます。

  みちのくの蝶迷ひ込む一号車 (凡茶)

  蝶に顔くすぐられ結ふ靴の紐 (凡茶)

 また、優しく舞い、触れると壊れてしまいそうな脆さのある蝶と、別の異質なものを取り合わせたような俳句にも、面白い味のものがたくさんあります。

  釣鐘にとまりて眠る胡蝶かな (与謝蕪村)

  地車に起き行く草の胡蝶かな (黒柳召波)
      ※地車=ぢぐるま



≪おすすめ・俳句の本≫

俳句の入口 〜作句の基本と楽しみ方 藤田湘子著
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■ 俳句はリズムである… 大切なことを教えてくれた一冊です。


 左の本に出会うまでは、伝えたいこと、表現したいことを無理やり五七五の定型に詰め込むような俳句作りをしていました。

 つまり以前の私にとって、定型は約束事だから仕方なしに守る制約にすぎなかったのです。

 しかし、この本を読んで、俳句は韻文であり、大切なのはリズムであることを知ると、定型、切れ字等の大切さが少しずつわかるようになっていきました。

 「意味」から「音」へ!
 私の俳句に対する意識を大きく変えてくれた一冊です。



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posted by 凡茶 at 21:13 | Comment(0) | 春の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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