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季語の意味・季語の解説
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蠅は夏の季語であるが、春に見かける蠅を特に「春の蠅」と呼ぶ。
夏の蠅と違ってブンブンと勢いよく飛びまわることはない。
弱弱しく飛んではすぐに休んでしまう。
季語随想
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私は子供の頃、ひどく蠅を怖がった。
書物を読んで、蠅はよからぬ病原菌の媒介者になるということを知ってからだ。
少しでも蠅の止まった可能性のある物に触れると、石鹸で手をゴシゴシ洗わないではいられない。
潔癖症というやつだ。
今でこそ、病的な恐怖心は無くなったが、やはり蠅がいると落ち着かない。
一刻も早く、退治するか、追い出したくなる。
だから、私には、夏の季語「蠅」を詠んだ句は一つもない。
しかし、そんな嫌われ者の蠅でさえも創作のための題材にしてしまうのが俳句という文芸の懐の深さ。
卑しいとされるものでも、どんなものでも、積極的に詠んでいくのが、俳人のたくましさである。
うき人の旅にも習へ木曾の蠅 (松尾芭蕉)
うき=憂き。
やれ打つな蠅が手を摺足をする (小林一茶)
摺=する。
いつか私も、夏の蠅を力強く詠んで、俳人として一皮剥けたいと思っている。
とりあえずは、その弱弱しく飛ぶ様に、ささやかな憐憫の情を抱くことができる「春の蠅」から、俳句に詠んでいこうと思う。
掛け軸の賢者の腹に春の蠅 (凡茶)
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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春の蠅と言う季語には、夏の蠅に感じる、苛立たせるような鬱陶(うっとう)しさを感じません。
鬱陶しいは鬱陶しいのですが、その弱弱しい飛翔に、憐憫の情も覚えます。
この憐憫の情を、ささやかな親しみと、愛情のこもった侮蔑に変えて、俳句を詠んでみましょう。
すると、この弱い蠅を生かしている、春の暖かさと光が、句から伝わってくるようになります。
世界地図フロリダ沖に春の蠅 (凡茶)
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正風俳句かるた
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■ 「かるた」が開く俳句の扉!
実は、「俳句かるた」が私(凡茶)と俳句の出会いでした。
幼い頃、一茶の俳句を集めたかるたを親に買ってもらい、絵札のユーモラスなイラストが気に入って、繰り返し遊んだことを覚えています。
そして、自然と一茶の俳句が好きになっていきました。
その記憶があったから、大学で俳句会勧誘の貼りビラを見たとき、迷わず、入会を決めることが出来たのだと思います。
ここで紹介している「正風俳句かるた」は、私が子どもの頃買ってもらったかるたではありませんが、季節感あふれる美しい絵札はきっと子どもたちの関心を引き付けることでしょう。
また、実際に読みきかす俳句を含め、同じ文字で始まる四季の俳句を並べた字札は、きっと子どもたちの前に、俳句の扉を自然と開いてくれることでしょう。
あるいは、童心に帰って、俳句仲間とかるたを楽しんでみるのもいいかもしれません。いい運動にもなりますしね。
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