柳 (春の季語:植物)

     枝垂柳(しだれやなぎ) 糸柳(いとやなぎ)
     青柳(あおやぎ) 芽柳(めやなぎ) 柳の芽


17春の季語・植物-柳.jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
==============================
 柳は芽吹いてから間もない頃、あるいは、葉がまだ瑞々しい頃が特に美しいため、春の季語とされる。
 細く垂れ下がった無数の枝が、黄緑色の若い葉をいっぱいにつけているのを見ると、思わず見入ってしまう。

 なお、枝垂柳は柳の代表的な種類で、糸柳は枝垂柳の別名である。

 また、青柳は葉が青々としてきた頃の柳を指し、そうなる手前の芽を出したばかりの柳は、芽柳(柳の芽)と呼ばれ、独立した季語として扱われることが多い。
 
 柳は、春のうちに種の入った無数の白い綿毛を風に放すが、これも「柳絮(りゅうじょ)」と呼ばれる独立した春の季語である。


季語随想
==============================
 しなやかに枝を垂れている春の柳は、なんとも優しそうで、そしてお色気がある。

 そして柳は、ふわふわとした柳絮(りゅうじょ)を飛ばして僕らを癒してくれる、心のお医者さんにもなる。
 
 それでいて柳は、夏ともなると鬱蒼として闇を抱き、夜には幽霊でも出そうな怖い雰囲気に包まれる。

 もし柳の精なるものがいるとすれば、精霊の世界では、きっと幅広く色々な役をこなせる、名女優であるに違いない。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
==============================
 まずは、他のものとは取り合わせずに、柳だけを一物仕立てで詠んだ句を見てみましょう。

  引きよせて放しかねたる柳かな (内藤丈草)

  青柳や二すじ三筋老木より (佐久間長水)
      老木=おいき。

 丈草の句からは、柳の枝のしなやかさが、よく伝わってきます。
 長水(のちに柳居と俳号を改める)は、今にも朽ち果てそうな古木から垂れるほんの二、三本の柳の枝に、「あはれ」を感じ取っています。

 「季語随想」でも述べたとおり、柳はいろんなイメージを持っています。
 一物仕立ての俳句を作るのは難しいのですが、果敢に挑戦して、柳の持つ良さを色々と引き出してみましょう。

 次の二つは取り合わせの句です。
 両句とも、柳の持つ女性的な柔らかさ、優しさのようなものが、作品全体のイメージを決めていると思います。

  恋々として柳遠のく舟路かな (高井几董)
      恋々=れんれん。恋しく、切なく、未練が残るさま。

  青柳や汀にしやがむ修道女 (凡茶)
      汀=みぎわ。



≪おすすめ・俳句の本≫

俳句の宇宙 長谷川櫂著
==============================
■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



季語めぐり 〜俳句歳時記〜 トップページへ
posted by 凡茶 at 03:27 | Comment(0) | 春の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント