菜の花 (春の季語:植物)

     花菜 油菜 菜の花畑

菜の花
17春の季語・植物・菜の花.jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 油菜(あぶらな)、蕪菜(かぶらな)、芥子菜(からしな)、高菜など、アブラナ科の葉菜が咲かせる花のこと。
 アブラナ科の菜は、実から菜種油を採り、葉を漬物などへ加工するために栽培されるが、収穫を前に咲きそろう黄色い花は、見る者の心を癒し、気持ちよくさせてくれる。
 近年は観光農園などで鑑賞用に栽培されることも多い。


季語ばなし
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 休むことに罪悪感を感じながら生きてきました。

 休む暇があったら、もっと自分を高める努力をしなくては…
 そんな青年時代でした。

 自らの責任を全うするためには、休んでいる暇などない…
 大人になってからは、そんな日々が続きました。

 慌ただしく何かしていると、自分を許すことができる…
 そういう性分でした。

 最近、私は休むことの大切さを知りました。
 正々堂々と休む時間を作れる人こそ、人生の達人なのだと思えるようになりました。

 今、私は、友と菜の花畑に来ています。
 小一時間、ほとんど会話もせずに、菜の花畑の小径(こみち)を散策しています。
 その友は、言葉を交わさなくとも、全く不安にならないでいられる古い友です。
 
 菜の花畑は、まるで時間が止まっているかのように静かです。
 ときおり聞こえるのは、鎮守の森の塒(ねぐら)へと帰っていく、鴉(からす)の羽の音だけです。

  菜の花や鴉の羽音仰ぎ見る (凡茶)
      鴉=からす。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 菜の花の俳句と言えば、ほとんどの人が、与謝蕪村の詠んだ、次の名句を思い浮かべるでしょう。

  菜の花や月は東に日は西に (蕪村)
      
 東から西にかけての濃紺から赤へと変化する夕空のグラデーションと、黄色い菜の花畑の果てしない広がりとを詠んだ、実にスケールの大きな俳句です。
 菜の花を季語に俳句を詠む場合は、やはり、この句のような空間的広がりのある大らかな作品に仕上げたいものです。

 江戸時代の俳人の句をもう二句見てみましょう。
 どちらも菜の花畑の広々とした様が生き生きと伝わってくる名作です。

  菜の花の中に城あり郡山 (森川許六)

  菜の花のとつぱづれなり富士の山 (小林一茶)

 私も、広々とした菜の花畑で俳句をひねり、その俳句を口ずさんでは、広々とした気持ちを再体験しています。

  菜の花やしばし風聞く往診医 (凡茶)

  菜の花や赤色巨星明け残る (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

・語りかける季語 ゆるやかな日本
・ゆたかなる季語 こまやかな日本 宮坂静生著
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■ 日本列島を隅々まで旅すると、たくさんの知らなかった季語に出会えます!

  
 日本各地には、一般的な歳時記にはあまり載っていない、その土地の貌を映し出す季節のことばがあります。
 筆者の宮坂さんは、そうした言葉を「地貌季語」と称し、その発掘に努めてきました。

 『語りかける季語 ゆるやかな日本』では、沖縄の「立ち雲」、雪国の「木の根明く」ほか、178の地貌季語が紹介されています。

 また、『ゆたかなる季語 こまやかな日本』では、千葉県安房地方の「逆さ寒」、沖縄県の「風車祝」、長野県諏訪地方の「明けの海」ほか、172の地貌季語が紹介されています。 

 この2冊を読めば、日本列島という空間と、季節と言う時間を一度に旅することができそうですね。季語の四次元ワールドを巡ってみましょう。



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posted by 凡茶 at 19:36 | Comment(0) | 春の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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