筍(たけのこ) (夏の季語:植物)

     竹の子 笋 タケノコ たかんな たこうな

筍(たけのこ)
27夏の季語・植物・筍(たけのこ).jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 土の中を走る竹の根茎の節から生じる若芽のこと。
 たかんな、たこうなとも言う。

 孟宗竹(もうそうちく)、淡竹(はちく)、真竹(まだけ)、根曲がり竹(ねまがりだけ;笹の仲間)などを食用とする。
 初夏を代表する味覚である。 

 筍(たけのこ)は、掘りたてを、ぬかを溶いた湯で皮つきのまま下茹でして「えぐみ」をとる。
 下茹でした筍は、炊き込みご飯、煮もの、てんぷら、吸い物などにすると美味しい。


季語随想
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 長野県の北部(北信地方)では、根曲がり竹の筍(たけのこ)摂りが地元の人の楽しみになっているようです。
 根曲がり竹はスラリと細い筍で、先の方はシコシコと軟らかく、根の方はコリコリと硬く、いろいろな歯触りを楽しめます。

 摂ってきた筍は、味噌で味をつけた筍汁にされます。
 そしてその筍汁には、必ずと言っていいほどサバの水煮の缶詰が入るようです。
 私もいただいたことがありますが、筍と水煮のサバの相性は抜群で、やみつきになります。

 缶詰のサバを使う料理であるということから、その歴史はあまり古くないと思われますが、もはや立派な郷土料理として地元に定着しています。

 今、日本には世界中の料理がどんどん伝えられていますが、長野県北部の筍汁のような新しい郷土料理が各地に生まれ、地元民によって育てられていくことを願ってやみません。

  筍の汁炊く音や姥の酌 (凡茶)
      姥=うば。老女のこと。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 すくすくと成長して、やがて若竹になる筍(たけのこ)は、元気さと健やかさの象徴です。
 ですから、筍という季語は子供との相性が良く、子供、もしくは子供時代に関係するものなどと、よく取り合わせられます。

  たけのこや稚き時の絵のすさび (松尾芭蕉)
      稚き=おさなき。 すさび=「遊び」と書く。心をそのおもむくままに任せること。
  
  たけの子や畠隣に悪太郎 (向井去来)

  竹の子や児の歯ぐきのうつくしき (服部嵐雪)
      児=ちご。      

 また、まだ背が低いのに、とがった先っちょで天を衝(つ)こうとしている筍の容姿はなんともユーモラスです。
 筍を季語に俳句を作ると、どこかユーモラスな作品になることを自覚しておくと、句作の手助けになるかもしれません。

  竹の子に小坂の土の崩れけり (斯波園女)

  笋やひとり弓射る屋敷守「 (吉分大魯)
      笋=たけのこ。

  筍や総理に似たる鄙の人 (凡茶)
      鄙=ひな。田舎のこと。



≪おすすめ・俳句の本≫

俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



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posted by 凡茶 at 19:10 | Comment(0) | 夏の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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