草笛 (夏の季語:生活)

     くさぶえ

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        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 草木の葉を唇に当てて吹くと、鋭い音が出て、簡単な楽曲なら奏でることができる。
 これを草笛という。
 
 名人は椎(シイ)、樫(カシ)、楠(クスノキ)といった照葉樹(葉に光沢のある常緑広葉樹)の葉を草笛に用いることが多い。
 ただし、本格的な演奏は無理にしても、蒲公英(タンポポ)の葉、虎杖(イタドリ)の葉など、道端の草の葉でも草笛は楽しめる。

 草笛は四季を問わず吹くことができるが、俳句では夏の季語とされている。
 遊び心から、ちょいと葉を摘み取って鳴らしてみたくなるのは、最も緑が豊かな夏だということなのかもしれない。


季語ばなし
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 他人に対して怒りを抱きやすい私の愚痴を、嫌がりもせずに聞いてくれる友がいた。
 でも彼は、人間関係をよくするための解決策などを私に与えるようなことはしない。
 私の言葉に耳を傾け、うなずき、怒りや悔しさ、不安などを理解してくれるのであった。
 
 それで十分であった。
 彼に愚痴を聞いてもらっていると、ものの五分もしないうちに、気持ちが楽になってしまう。
 なんだか、せっかく彼といる時間を、愚痴で費やしてしまうのが馬鹿らしくなってくる。
 
 愚痴の時間が終わると、彼はよく緑いっぱいの川原で草笛を聞かせてくれた。
 歌謡曲も、童謡も、上手に奏でてくれる。

 草笛の吹けない私は、彼の演奏に合わせて下手な歌をうたう。
 ますます気分が軽くなり、さっきまで抱いて怒りが、屁のようにつまらないものに思えてくる。

 あの青春時代から、もう、だいぶ長い年月が過ぎた…。

 時折道端などで適当な草葉を見つけると、彼の草笛を思い出す。
 当時の私は、自分の心の内を聞いてもらうばかりで、彼から話を聞くことなどほとんどなかった。

 彼はどうしてあんなに草笛を上手に吹けるようになったのだろう?
 そういう肝心なことを、私は何にも聞かないままでいる。

 せめて、草笛の吹き方だけでも彼から習っておいたら、淋しい時間をそれとなく埋めることもできただろうに。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 草笛という季語からは、材となる葉を与えてくれた草木の緑を連想します。
 そして、その緑を育んだ太陽と、草笛を吹いてみたいという気持ちにさせてくれた風や空を連想します。

 しかし、草笛という季語には、どこか「ものがなしさ」を感じます。
 おそらく、その音色のためでしょう。

 私は、草笛を季語に俳句を作る時は、その「ものがなしさ」を大切にして詠むようにしています。

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■ 「かるた」が開く俳句の扉!

 実は、「俳句かるた」が私(凡茶)と俳句の出会いでした。

 幼い頃、一茶の俳句を集めたかるたを親に買ってもらい、絵札のユーモラスなイラストが気に入って、繰り返し遊んだことを覚えています。
 そして、自然と一茶の俳句が好きになっていきました。

 その記憶があったから、大学で俳句会勧誘の貼りビラを見たとき、迷わず、入会を決めることが出来たのだと思います。

 ここで紹介している「正風俳句かるた」は、私が子どもの頃買ってもらったかるたではありませんが、季節感あふれる美しい絵札はきっと子どもたちの関心を引き付けることでしょう。

 また、実際に読みきかす俳句を含め、同じ文字で始まる四季の俳句を並べた字札は、きっと子どもたちの前に、俳句の扉を自然と開いてくれることでしょう。

 あるいは、童心に帰って、俳句仲間とかるたを楽しんでみるのもいいかもしれません。いい運動にもなりますしね。



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posted by 凡茶 at 01:27 | Comment(0) | 夏の季語(生活) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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