紫陽花(アジサイ)

デジカメ写真
季語の意味・季語の解説
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紫陽花は、小さな花が群れ咲いて大きな毬(まり)の形をなす、梅雨の時期を代表する花。
今鑑賞されている種類の多くは西洋で品種改良されたものであるが、その原産地は日本であり、シーボルトらが西洋に持ち帰ったものが元になっている。
個々の花がもともと持っている成分や、土壌のpH(酸性度)やアルミニウムイオンの量によって、青、紫、赤、白、緑など様々に色を変化させるため、「七変化」とも呼ばれる。
四枚の花弁を持つので四葩(よひら)とも呼ばれ、俳人にはこの語を用いる人も多い。
ただし、花弁に見えている部分は生物学的には装飾化と呼ばれ、萼(がく)が変化したものである。
季語随想
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小さな花をいっぱい咲かせて、大きな毬を作り上げた紫陽花のように…
小さな仕事をコツコツと積み重ねていけば…
凡庸なこの私でも、大輪の薔薇に負けないような創造を実現することができるはず…
今さらながら、そんなことを考える。
紫陽花が色を変えるように、私も時代の流れに合わせて柔軟に自分を変えていきたい…
紫陽花がかたつむりを葉に休ませるように、私も大らかにいろんな友を呼び寄せたい…
この年になってそんなことを考える。
梅雨時の重い体に鞭打ち、あぢさゐ寺を訪れて見て、ああよかったなあと思っている。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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松尾芭蕉以来、俳諧・俳句では、閑寂の美が積極的に詠まれてきました。
紫陽花(アジサイ)は、まさにその「閑寂」が似合う花だと思います。
江戸時代の加藤暁台と、私の句を参考にしてみてください。
あぢさゐに喪屋の灯うつるなり (暁台)
喪屋=もや。 灯=ともしび。
紫陽花や小虫浮きたる供へ猪口 (凡茶)
供へ=そなえ。 猪口=ちょこ。おちょこのこと。
また、紫陽花は、漠として陰鬱な梅雨の景に、心を健やかにしてくれるような彩りを与えてくれます。
江戸時代の成田蒼きゅうと私の句に登場する紫陽花は、それぞれどんな色が最も似合うでしょうか?
読者の皆様の想像力にお任せします。
あぢさゐや澄み切つてある淵の上 (蒼きゅう)
あぢさゐや見覚えのある転入生 (凡茶)
≪おすすめ・俳句の本≫
俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!
この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。
また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…
とにかくこの本は、
「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。
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