夕焼け (夏の季語:天文)

     夕焼  ゆふやけ ゆやけ
     夕焼雲(ゆうやけぐも・ゆやけぐも)

夕焼け
22夏の季語・天文・夕焼け.jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 夕焼けは四季を通じて見られますが、俳句歳時記では夏の季語とされています。
 
 夕焼けは晴れた空に見られる現象ですから、長い梅雨が明けて、晴天の多くなった晩夏に、とくに美しく感じられるからかもしれません。

■ 夕焼けが見られる理由 ■

 昼間の太陽の光は、地表を射るようにタテに進んで来ますが、夕方になると、地表を這うように、斜めに進みます。
 ですから、夕方の光は、昼間の光より、地表を覆う大気の中を、長距離移動します。

 すると、波長の短い青系統の光は、大気中の粒子に弾き返されたり、吸収されたりしてしまい、波長の長い赤系統の光が残されて、目に届くようになります。
 だから、夕方の空は、夕焼けの赤に彩られるのです。

■ 夕焼けの翌日がよく晴れる訳 ■

 日本の上空は、西から東へ向かう偏西風(へんせいふう)という風が卓越しています。
 つまり、大気は西から東へと流れています。
 「天気は西から東へやってくる」と、よく言いますよね。

 夕焼けは、良く晴れた西の空に発生します。
 つまり、夕焼けの鮮やかな日は、西方が良い天気だということになります。
 ですから、夕焼けの翌日には、その良い天気が、偏西風によって、西の方から運ばれてくるのです。
 

季語随想
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 泥んこになり、夢中で遊んでいると、やがて西の空が夕焼けで真っ赤になってくる。
 すると、誰かの母ちゃんが割烹着を着たまま原っぱにやってきて、「夕飯だから帰っておいで」と声をかける。
 その時が、子供たちが家路へと散り散りになる時だ。

 ある者は一番星の方へ、ある者は豆腐屋のラッパの鳴る方へ帰っていく。

 途中、どこかの家の換気扇からカレーの匂いが漏れていたりすると、途端に腹がグーグーと鳴りだす。
 そんな日に、わが家でもカレーだったりすると、嬉しくて仕方がない。

 …今でも私は、夕焼けを見ると無性にあの頃のカレーが食べたくなる。
 煮干しのダシと、ニンニクの利いた、わが家独特の、あのカレーが食べたくなる。 


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 夕焼けという季語は、俳句に「ちょっとした淋しさ」という味付けをしてくれます。
 「秋深し」とか「枯野」のような、「深い淋しさ」ではありません。

 隠し味程度の「ちょっとした淋しさ」です。

 夕焼けを俳句に詠むときは、それを意識するようにしています。

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 例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)

 また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 

  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

 筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。

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posted by 凡茶 at 13:29 | Comment(2) | 夏の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
始めまして!
夏以外に夕焼けがどういう季語になるかも書き添えてあると、初心者にとってパーフェクトな記事になったと思います。
写真を拝見しますと、同じ地方の方かと思っています。
Posted by yakko at 2011年06月27日 09:40
yakkoさん。
コメントありがとうございました。
春夕焼、秋夕焼、冬夕焼の記事もいずれ書きたいと思っています。
今年も暑くなりそうですが、俳句をひねりながら楽しく乗り切りましょう。
Posted by 凡茶 at 2011年06月28日 15:43