蝉(せみ) (夏の季語:動物)

     唖蝉(おしぜみ) にいにい蝉 みんみん蝉(深山蝉:みやまぜみ)
     油蝉 熊蝉 蝉時雨(せみしぐれ) 落蝉(おちぜみ) 初蝉

蝉(せみ)
26夏の季語・動物・蝉(せみ)の写真.jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 蝉は幼虫として数年間を地中で過ごした後、死ぬ前の最後の一週間程度を成虫として地上で過ごす。
 
 木の幹や枝に止まり、求愛のために鳴く。
 ただし、鳴くのはオスだけで、メスは鳴かないため、メスのことを唖蝉(おしぜみ)という。

 梅雨明け頃からにいにい蝉が鳴きはじめるが、晩夏になると、みんみん蝉(みやまぜみとも言う)のミンミン、油蝉のジジジジ、熊蝉のシャーシャーなどの声が聞かれるようになる。
 法師蝉のツクツクホウシの声、蜩(ひぐらし)のカナカナカナの声も夏のうちに聞かれるようになるが、これらの蝉は俳句歳時記では秋の季語に分類される。

 これらの蝉が一斉に鳴いて賑やかな状態を蝉時雨(せみしぐれ)といい、俳句でもよく使われる。

 落蝉(おちぜみ)は、死期が近づき地面に落ちてもがいている蝉、あるいは既に息絶えた蝉であり、「あはれ」を感じる。

 初蝉は、その年、初めて聞く蝉の声を指す。


季語随想
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 「蝉は七年も暗い土の中で暮らし、やっと明るい地上に出ても、たった七日で死んでしまう…」

 幼い頃そう聞かされて、「蝉とはずいぶん可愛そうな生き物だ」と思った記憶がある。

 でもそれは、「蝉はたった七日の本番のために、七年もの準備期間を過ごす」という見方で大人が話すのを聞いたからである。

 そうではなく、「蝉の一生における本番は、土の中で安らかに過ごす七年間であり、地上に出る七日間は、子孫繁栄のための最後の奉仕なのだ…」
 
 そんな見方をすれば、蝉の一生は、手本にしたくなるような、少し羨ましい一生のようにも思えてくる。

 「今」という時間を、「未来」のための準備期間のようにとらえ、「がんばらなくては、がんばらなくては」と生きるのも一つの価値ある人生だ。

 しかし、心に無理をかけず、安らかな日々を積み重ねながら、ゆっくりと晩年を迎え、最後に何かささやかな奉仕でもする…

 そんな人生も悪くはないと、近頃思える。

26夏の季語・動物・蝉(せみ).jpg
        絵画をスキャナーにて取り込み


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 蝉を季語に俳句を詠む場合、動きの少ない静まり返った景の中に、その声を響かせてやると、佳句が生まれやすいようです。
 景の静けさと蝉の声が、お互いをよく引き立てるからです。

  閑さや岩にしみ入蝉の声 (松尾芭蕉)
      閑さ=しずかさ。入=いる。
 
  蝉鳴や行く人絶ゆる橋ばしら (与謝蕪村)

  蝉なくや見かけて遠き峰の寺 (勝見二柳)

  亡き父の挿みし栞蝉時雨 (凡茶)
      栞=しおり。

 また、蝉の声を、暑い夏を象徴するものとして扱った俳句を詠んでみるのもよいと思います。

  蝉なくやつくづく赤い風車 (小林一茶)

  裏山の蝉の声浴び粥の日々 (凡茶)
      粥=かゆ。



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posted by 凡茶 at 14:32 | Comment(0) | 夏の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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