西瓜(すいか)

デジカメ写真
季語の意味・季語の解説
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西瓜(すいか)は、暑い時期に出回り、体の渇きをいやしてくれる。
そのため、一般には夏の季語と考えられがちである。
しかし、最も甘くなる旬は立秋(8月7日頃)を過ぎたお盆の頃であるため、秋の季語とされる。
西瓜の原産地は、アフリカ中南部の乾燥帯から明瞭な乾季のあるサバナにかけてである。
その厳しい乾燥に耐えるために、たっぷりと実に水分と糖分を蓄えるようになったのであろう。
西瓜はアフリカから西アジアを経て、中国の西方にある中央アジアに伝わり、そこから中国へ伝わった。
そのため、「西」の「瓜」と表記される。
日本へは中国から室町時代以降に伝来した(詳しい時期は定かではない)。
季語随想
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西瓜(すいか)の種を食べると盲腸になる…
そう聞かされて育ったが、どうもこれは間違いらしい。
実際、中国では、西瓜の種を炒って、ポリポリと食べているとのことだ。
また、西瓜の赤い部分を食べた後、残った皮は当たり前のように捨ててきた。
しかし、西瓜の皮は漬物にするととても美味しいらしい。
実際、日本のいくつかの地域で、残った皮を漬物として再利用しているようだ。
素晴らしい食文化、食習慣だと思う。
私も、インターネットでレシピを調べ、そのうち、炒った種や、皮の漬物を食べてみたいと思う。
ただ、自分以外の者に、再利用した西瓜の種や皮を勧めるのはやめておこうと思う。
それは、西瓜の皮の漬物のことが話題に出た際、そこにいた若い人が、人が一度口にした西瓜の皮を食べるのは、たとえ漬物にした後でも抵抗があると、正直な気持ちを言ってくれたからだ。
これを聞いた時、なんだか淋しい気もした。
でも、その人の気持ちもよくわかる。
まずは自分で食べた西瓜の種と皮を、自分で炒ったり、自分で漬けたりして楽しんでみたい。
そうこうしているうちに、種や皮の加工品が、商品として普通のスーパーに出回るかもしれない。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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西瓜(すいか)の産地に行く機会を得たら、収穫前の西瓜畑をよく観察し、写生句を詠んでみましょう。
発見したことをうまく俳句に表現できたら、旨そうな西瓜がゴロゴロと転がっている畑を、いきいきと読者に連想してもらえるでしょう。
おまけに、西瓜畑の上に広がる、晩夏から初秋の良く晴れた爽やかな空も連想してもらえるでしょう。
畠から西瓜くれたる庵主かな (炭太祇)
西瓜ひとり野分を知らぬあしたかな (山口素堂)
西瓜畑遠くに一つ割れゐたり (凡茶)
西瓜はとても大きく、重たい青果ですから、買い求めたあとは、運ぶのにひと苦労します。
そんな様子を上手に俳句で表現できれば、生活感のある佳句となります。
こけさまにほうと抱ゆる西瓜かな (向井去来)
華奢なる身西瓜に寄せて後部座席 (凡茶)
華奢=きゃしゃ。ほっそりとして上品な様。
西瓜は口の周りをべたべたに濡らして食べるものです。
西瓜を食べる様子を詠んだ俳句は、鑑賞する側もそうゆう粗野な食べ方を連想しながら読みますから、作り手もそのことを自覚して作るべきでしょう。
西瓜くふ奴の髭の流れけり (宝井其角)
奴=やっこ。武家に仕える身分の低い者。 髭=ひげ。
出女の口紅をしむ西瓜かな (各務支考)
出女=宿屋の客引きをする女。
見るたびに子役男へ西瓜食ふ (凡茶)
最後に、微笑ましい俳句を一句。
丸くて甘い西瓜は、ユーモアがよく似合います。
板の間に子の這ひかかる西瓜かな (使帆)
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