星飛ぶ 星走る

パソコン絵画
● 季語の意味・季語の解説
宇宙空間に浮かぶ塵(ちり:小さな岩や金属)は、引力によって地球に引き寄せられる際、地球を覆う大気とこすれあって激しく燃え上がる。
この時に放たれる光が、地上から見ると流れ星に見える。
隕石や隕鉄は、燃えきれずに落ちてきた流れ星である。
地球は公転軌道に沿って、太陽の周りを一年かけて一周する。
この公転軌道の周囲に散らばっている塵には疎密のばらつきがあり、地球が秋ごろ通過するあたりに特に多く塵が浮かんでいる。
そのため、秋には多くの流れ星が空をかけるのである。
流れ星が消えるまでに、願い事を三回唱えると、その願いが叶うという言い伝えがある。
でも、多くの流れ星は、見つけたと思った瞬間には、もう消えてしまっている。
● 季語随想
高校教師を退職し、夜に家庭教師をするようになってから、流れ星を見る機会が増えた。
しかし、流れ星が消えるまでに、願い事を三回唱えられたことは一度もない。
三回どころか、ただの一回すら唱えることができない。
流れ星があまりに早く消え去ってしまうということが一番の理由だが…
自分にしっかりとした願い事がないというのも、とっさに願い事を口に出すことのできない理由の一つである。
「願い事を減らせば減らすほど、人生の肩の荷が軽くなっていく…」
歳を重ねるごとに、そう感じることが増えていき、いつしか願い事を心の中に持たなくなった。
未来を創ろうという心が老いたのだ。
もしかすると私の頭上をかける流れ星は、願いを叶えてくれるために現れるのではないのかもしれない。
「もう一度、お前の心の中で錆びついてしまった願う心、未来を創ろうとする心に魂を吹き込め!」
そう、私を励ますために、流れ星は現れるのかもしれない。
● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方
秋の夜空をかける流れ星は、メルヘンチックですが、すぐに消えてしまう儚い光です。
流れ星悲しと言ひし女かな (高浜虚子)
流れ星がスッと消え去ったあとには、何事も無かったかのように、広くて静かな夜の闇が残ります。
星とんでのち山国の闇厚し (柴田白葉女)
その「広くて静かな夜の闇」をしっかり感じ取れるように俳句を作ると、一瞬の光の美しさと儚さを強調することができます。
夜這星峡にをろちの深ねむり (角川源義)
峡=「かい」と読む。
流星や生れし覚えなき嬰児 (三橋敏雄)
流星の使ひきれざる空の丈 (鷹羽狩行)
流星や空き地の隅の三輪車 (凡茶)
次の句は私の自信作です。夜空の光と地上の光を取り合わせてみました。
漁火の賑はひへ消ゆ流れ星 (凡茶)
賑はひ=にぎわい。
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例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。
●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)
また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。
●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)
筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。
●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
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にんげんだもの 相田みつを
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■ 厳選された言葉の力に触れ、たちまち目頭が熱くなりました。
たちまち心が震え、目頭が熱くなり、その場で感涙をこぼしそうになったので、あわててレジに向かったことを覚えています。
この本は俳句の本ではなく、書の本ですが、掲載されている数々の作品は無駄のない厳選された言葉で読み手の心を打つ短詩であり、俳句を創る上で大いに参考になります。
まだ、読んだことのない俳句作者には、ぜひとも読んでいただきたいと思います。
近頃のインターネットには憎悪や侮蔑の感情から生み出された言葉が氾濫しており、それが若者たちの心にどのような影響を与えているのか、今後が心配でなりません。
私は、憎しみや蔑みの言葉ばかりに触れ心の荒んでしまった若者たちに、命のこもった本物の言葉に接してもらいたいという思いからも、相田みつをさんの本を紹介することにしました。
以下に、『にんげんだもの』以外の本、および、『にんげんだもの』も含んだ相田みつをさんの作品集も紹介しておきます。
一生感動 一生青春
雨の日には…
しあわせはいつも
じぶんの花を
相田みつを作品集
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