ばった (秋の季語:動物)

     螇蚸(ばった・はたはた) 飛蝗 バッタ
     はたはた(蟿螽) ばたばた きちきち きちきちばった
     殿様ばった(とのさまばった) 精霊ばった(しょうりょうばった)

ばったの夫婦
36秋の季語・動物ーばった.jpg
        絵画をスキャナーにて取り込み


季語の意味・季語の解説
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 トノサマバッタやクルマバッタのように体長5センチ程度になる大きなものから、ヒシバッタのような体長1センチ程度の小さなものまで様々な種類がある。

 よく発達した後ろ肢(うしろあし)を持っており、高く遠くへ飛び跳ねることができる。

 メスの方がオスより大きく、交尾の際にはオスがメスの背に乗る。
 このような状態のバッタを見つけると、子供たちはバッタの種類にかかわらず「おんぶばった」と呼んで喜ぶが、「オンブバッタ」という固有の種類も存在する。
 俳句の中の「おんぶばった」が、交尾のために重なった二匹のバッタであるのか、「オンブバッタ」というバッタの種類を指しているのかは、読み手の自由な判断に委ねられよう。

 俳句においては「はたはた」という表現が季語としてよく用いられるので、読者も積極的に用いるとよい。

 また、「きちきち」「きちきちばった」という表現もよく用いられるが、これはショウリョウバッタ(精霊ばった)の俗称である。
 オスが「キチキチキチ…」と羽を鳴らして飛んだりするため、このように呼ばれる。

  肩先に止まつてきつちきつちかな (小林一茶)


季語随想
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 「憧れ」を抱くこと…
 そして、その「憧れ」に向かって、全身の力を振り絞って駆けていくこと…

 大人になったら、やっちゃいけないことだなんて、誰も言ってねえのにな…

 そんなこと考えながら、野道を歩いていたら、
 力いっぱいバッタが跳ねた。

 山へ落ちそうな夕日に向かって、
 力いっぱい、バッタが跳ねた。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 子供の頃、「タッちゃん」という昆虫博士のような友達が近所に住んでいました。
 私はタッちゃんに色々な虫の名前を教わりました。

 大きなバッタの背中に、小さなバッタが載っている理由も教わりました。

 ピョンピョン跳ねてなかなか捕まらないバッタを、タッちゃんと一緒に無心で追い掛けた少年時代…

 今でも鮮明に覚えているあの頃の感情を呼び起こして詠んだのが次の俳句です。

  兄追へりおんぶばつたを握りしめ (凡茶)

 子供の頃や若い頃によく接したものを季語として俳句に詠む場合、当時の感覚を思い出して詠むと、力強い一句に仕上がることがよくあります。
 参考にしてみてください。

 大人になってからは、さすがにバッタを見ても捕えてみようなどと思う元気は無くなりました。
 でも、バッタがしきりに跳ねている空間に潜む静寂、バッタが勢いよく跳ねた後に蘇ってくる静寂に、詩情を覚えるようになりました。
 大人には大人のバッタの楽しみ方があるようです。

  ばつた跳ぶ母校跡地を測量す (凡茶)

  線路跡ばつた散らして踏み越ゆる (凡茶)

 バッタの跳ねる様子、すなわち「動」と、周囲の「静」との対比を楽しんでいただけると幸いです。



≪おすすめの本≫

佳句が生まれる「俳句の形」 凡茶
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 さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。

 例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)

 また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 

  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

 筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。

  ●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
  ●露の玉工場ドスンと始まりぬ(凡茶)

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 あちこち加筆・修正はしてあるものの、内容は重複する部分が多いので、すでに前著『書いて覚える俳句の形』をお持ちの方は、本著の新たな購入に際しては慎重に検討してください


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にんげんだもの 相田みつを
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■ 厳選された言葉の力に触れ、たちまち目頭が熱くなりました。


 20年以上前になると思いますが、書店でなにげなくこの本を手に取り、最初の数ページを読んでみた時の感動を今も忘れていません。
 たちまち心が震え、目頭が熱くなり、その場で感涙をこぼしそうになったので、あわててレジに向かったことを覚えています。

 この本は俳句の本ではなく、書の本ですが、掲載されている数々の作品は無駄のない厳選された言葉で読み手の心を打つ短詩であり、俳句を創る上で大いに参考になります。
 まだ、読んだことのない俳句作者には、ぜひとも読んでいただきたいと思います。

 近頃のインターネットには憎悪や侮蔑の感情から生み出された言葉が氾濫しており、それが若者たちの心にどのような影響を与えているのか、今後が心配でなりません。
 私は、憎しみや蔑みの言葉ばかりに触れ心の荒んでしまった若者たちに、命のこもった本物の言葉に接してもらいたいという思いからも、相田みつをさんの本を紹介することにしました。

 以下に、『にんげんだもの』以外の本、および、『にんげんだもの』も含んだ相田みつをさんの作品集も紹介しておきます。


一生感動 一生青春

雨の日には…

しあわせはいつも

じぶんの花を

相田みつを作品集






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posted by 凡茶 at 13:12 | Comment(0) | 秋の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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