赤とんぼ (秋の季語:動物)

     赤蜻蛉 赤トンボ 秋茜(あきあかね)

赤とんぼ
36秋の季語・動物=赤とんぼ.jpg
        パソコン絵画


● 季語の意味・季語の解説

 赤とんぼとは、赤い色をしたトンボの総称である。
 秋茜(アキアカネ)、深山茜(ミヤマアカネ)など、様々な種類がある。

  赤蜻蛉飛ぶや平家のちりぢりに (正岡子規)
      ※ 源平合戦において、源氏は白、平家は赤の旗を掲げた。

 オスの方がより鮮やかな赤色をしており、メスは黄色っぽい。
 蕪村の次の俳句は、赤に染まりきっていないメスの赤とんぼに愛しさを覚えて詠んだ句かもしれない。

  染めあへぬ尾のゆかしさよ赤蜻蛉 (与謝蕪村)

 夕日や紅葉と同じ色をしている赤とんぼは、秋の訪れを切々と感じさせてくれる。
 江戸時代の俳人たちも、赤とんぼを見かけると、胸にせまってくるものがあったようだ。

  盆つれて来たか野道の赤蜻蛉 (沢露川)

  秋の季の赤とんぼうに定まりぬ (加舎白雄)


● 季語の詩

 人間は、みんなと一緒に大きな入れ物に入りたがる。
 みんなと一緒に大きな入れ物に入っていると思えれば安心する。

 人間は、入れ物に収まれないでいる人を見ると侮蔑する。
 入れ物の外にいる人間を蔑んで、自分は入れ物の中にいるのだと確認し、安心する。

 人間は、自分の入っていない、別の入れ物を見ると敵視し、憎悪する。
 その入れ物の中に入っている人の、一人ひとりの顔など思い浮かべはしない。
 とにかく自分たちとは別の入れ物を丸ごと敵視し、憎悪し、自分たちの入れ物を皆で愛した気分になる。

 人間なんてつまらねえ…

 そんなこと考えながらベンチに座っていたら、目の前のコスモスに赤とんぼが止まった。

 静かに俺を見ている赤とんぼ。

 俺は人間には聞かせたくない愚痴を赤とんぼに聞いてもらおうと思った。
 そんな気配を察してか、口を開こうとすると、赤とんぼは音も無く飛び立ち、夕日の方へ去って行ってしまった。

 俺はベンチでしばらく夕日を眺め、心の波が穏やかになったのを確認してから立ちあがった。
 
 家へ向かう道。

 そのうち、また人間が恋しくなるさ…

 そう呟いてふと上を見ると、今度はいっぱいの赤とんぼが、気持ちよさそうに空を泳いでいた。 


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 秋という季節は、木々や野の草が赤く色づいていく季節です。
 ですから、赤とんぼは、夏の青さを、秋らしい赤に変えていくための色素を運んできた、秋の遣いのようにも思えます。

  秋風をあやなす物か赤とんぼ (松岡青蘿)
      あやなす=美しく彩る。

 赤とんぼは、その赤い色とともに、音の無い静かな飛翔によっても秋の訪れを切々と感じさせ、心の中をしみじみとした情感で満たします。

 心の中に生じたその情を直接的な表現は用いず、目に映る景を上手に詠むことで、間接的に表現できたら成功です。

  夕汐や艸葉の末の赤蜻蛉 (小林一茶)
      夕汐=ゆうしお。 艸=くさ(草)。

  生きて仰ぐ空の高さよ赤蜻蛉 (夏目漱石)

  赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり (正岡子規)

  赤とんぼみな母探すごとくゆく (細谷源二)

  赤とんぼ離れて杭のいろの失せ (上野泰)

  会津なり顔にぶつかる赤とんぼ (藤田湘子)    

  さすりけり赤蜻蛉ゐし農馬の背 (凡茶)

  シーソーの持ち上げてゐる赤とんぼ (凡茶)



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posted by 凡茶 at 05:50 | Comment(0) | 秋の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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