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季語の意味・季語の解説
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秋の夜空を眺めると、北の空には、ベガ(織女)、アルタイル(牽牛)、デネブの作る大三角形や、カシオペヤ座(碇星:いかりぼし)などの星たちが賑やかに瞬いている。
天の川もくっきりとしている。
しかし、南の空には明るい星がほとんどなく、白い星が一つだけ淋しげに灯っている。
この星を日本では、「秋の一つ星」、あるいは「南の一つ星」と呼んできた。
この星の正式名称はフォーマルハウトで、みなみのうお座の一等星である。
中国名は北落師門。
周囲に目立つ星がないため、航海においては重要な星であった。
この秋の一つ星、あまり俳人に顧みられることもなく、独立した季語として扱っている歳時記はほとんど無いのではないだろうか。
天文に興味のある人なら、秋の星と言えばすぐに思いつく代表的な星なのだが…。
私は、このぽつねんと淋しげな星を見ると、何やら強く詩心が動かされる。
いつか多くの俳人の目にとまり、歳時記でも扱われるようになってほしいものだ。
季語随想
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秋の一つ星、フォーマルハウトは、あまり人々の目に止まらない。
太陽系の星を除けば、全天の星の中で17番目に明るい一等星なのだが…
おそらく周りの空が、他に明るい星の無い、賑やかさを欠く地味な空だからであろう。
人間社会にも、明るい光を放つ才能を持ちながら、置かれた境遇ゆえに人目に止まらないままでいる秋の一つ星が、きっといっぱいいるに違いない。
季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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上の「季語の意味・季語の解説」でも述べたとおり、「秋の一つ星」「南の一つ星」という言葉は、俳句の季語としての地位をまだ獲得していません。
ゆえに、この語の活かし方は、この星に魅力を感じ、季語として詠みたいと思ってくれた人が、実際に俳句を作って確立していくことになります。
貸しビルの林に秋の一つ星 (凡茶)
読者のみなさんも、まずはこの星を秋の南天に見つけ出し、何かを感じることから始めてみてください。
≪おすすめ・俳句の本≫
佳句が生まれる「俳句の形」 凡茶
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さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。
例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。
●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)
また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。
●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)
筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。
●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
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