初雪 (冬の季語:天文)

     はつゆき

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        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 その冬、はじめて降る雪のことを初雪といいます。

 長く不便を強いられる雪の季節の始まりではありますが、なぜだか、初雪を見るとうきうきします。
 かさかさしていた心が潤いを取り戻し、昨日までの煩わしさを全てご破算にして、新たな一歩を踏み出したくなります。

 俳句でも、本格的な冬到来の重々しさより、清新な気分を詠んだ句の方が多いようです。
 次の名句がその典型であると言えます。

  初雪は盆にもるべき詠哉 (宝井其角) 
      詠=ながめ。 哉=かな。 


季語随想
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 初雪が降りました。
 かさかさした褐色の風景が、しっとりと清々しい白い風景に変わっていました。

 落ち葉、枯れ木、こがらし…
 昨日までの乾いた街の風景。

 それが初雪によって、潤いのある新しい風景に生まれ変わりました。

 部屋に戻り、鏡を見ると、自分の顔も昨日までとは違うものになっていました。

 時計と財布ばかり気にしていた、昨日までのなんだかおっかない顔…
 それが、もうそこにはありませんでした。



42冬の季語・天文・初雪(写真).jpg
        デジカメ写真


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 初雪は、人々に不便を強いる長く厳しい雪の季節の到来を告げるものです。
 ですから、雪国の北信濃を郷里とする一茶の句には、次のようなものがあります。 

  初雪をいまいましいと夕哉 (小林一茶)
      夕=ゆうべ。 哉=かな。

 しかし、多くの人は初雪に清々しさ、潤い、けがれなさのようなものを感じます。
 ですから、初雪の俳句にも、重々しさより、軽やかな晴れがましい気分を詠んだものの方が多いようです。
 次の句は、同じ一茶のものです。

  初雪や正月物を着て座る (小林一茶)

 他にもいくつか初雪の降った喜びのようなものを感じさせる俳句を紹介します。

  初雪や水仙の葉のたはむまで (松尾芭蕉)

  初雪や医師に酒出す奥座敷 (炭太祇)

  初雪や路の左右に古本屋 (凡茶)

  初雪や寺をこぼるるピアノの音 (凡茶)

 また、初雪は、多くの場合降ってもすぐに消えて無くなってしまうためか、儚さ、そして寂しさ、静かさも感じさせます。

  初雪や波の届かぬ岩の上 (松木淡々)

  初雪や俵の上の小行灯 (小林一茶)
      小行燈=こ・あんどん。

 そして私は、初雪の中に身を置くと、何か深いやさしさのようなものに包まれている気がしてきます。

  初雪やベッドの下の楽器箱 (凡茶)

  初雪や少年院へ運ぶパン (凡茶)



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posted by 凡茶 at 14:30 | Comment(0) | 冬の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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