蜷(にな) (春の季語:動物)

     川蜷(かわにな) カワニナ みな 蜷の道

16春の季語・動物・蜷.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 蜷(にな)は、川、池、沼、田などに棲む細長い巻貝。
 現在ではカワニナと呼ぶのが一般的。

 春になると、温くなった川や、水の張られたばかりの田に現れ、底を這うようになる。
 そのとき泥につく移動の跡が蜷の道(下の写真を参照してください)。

 蛍の餌として飼育されるが、人の食用にもなる。
 ただし、寄生虫には注意しなければならい。

 なお、カワニナによく似た貝に、ウミニナ(海蜷)やイソニナ(磯蜷)があるが、これらは、カワニナとは別種の貝で、海に生息する。

蜷の道
16春の季語・動物・蜷の道@.jpg

16春の季語・動物・蜷の道A.jpg


季語随想
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 私の通った小学校には裏山があり、その裏山の裾には、子供でも飛び越えられるほどの小川が流れていました。

 そして、その小川の底には、小粒のものから大粒のものまで、たくさんのカワニナが棲みついていました。
 子供たちは、はじめこれを「タニシ」と呼んでいました。

 ある日、生き物に詳しい一つ年下の遊び友達が、私に教えてくれました。
 「これはタニシじゃないよ。カワニナだ。カワニナは成長するとホタルになるんだ」と。

 もちろん、これは誤りです。
 その子は、カワニナがホタルの幼虫の餌になるという事実を本か何かで目にした時、カワニナが成長してホタルになるのだと勘違いしてしまったようです。

 でも、そんな事実を知るはずもない私は、どうしてもカワニナがホタルへと成長するところを見てみたくなり、たくさんのカワニナを川底から摘みあげて帽子に入れ、家に持ち帰りました。
 そして、親には「これが大きくなるとホタルになるんだ」と興奮気味に話し、カワニナを飼育するための水槽を用意してもらいました。

 翌日、学校でも担任の先生にいきさつを話し、既にメダカを飼っている水槽でカワニナも飼ってもらうことにしました。

  ひいふうみい帽子の蜷を水槽へ (凡茶)

 それから、何ヶ月か待ちました。
 しかし、家のカワニナも、学校のカワニナも、水槽の壁にペッタリと肉を張り付けているだけで、いっこうにホタルにはなりません。

 「どうしていつまでもホタルにならないのだろう?」
 不思議に思った私は、図書室の図鑑で、ホタルやカワニナについてしっかりと調べてみました。
 言うまでもなく、そこで初めて真実を知りました。

 このとき、私は、昆虫類、貝類、食物連鎖等、自然界や動物界に関する多くのことを併せて学んだような気がします。

 今思えば、私の親も、学校の先生も、カワニナがホタルにはならないことを知らなかったはずがありません。
 きっと、私が自分自身で真実を知って納得するまで、暖かい目で見守っていてくれたのだと思います。
 おかげで、私は、教わる前に、多くのことを自ら学ぶことが出来ました。

 「教える」よりも「学ばせる」…
 そんな意識を教育者や社会がもっとしっかり持っていれば、せっかく国が導入した「ゆとり教育」をよってたかって批判し、「脱ゆとり教育」を声高に叫ぶようなことにならずに済んだのかもしれません。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 蜷(にな)が水底を這って泥につけた跡を、蜷の道と呼びます。
 蜷を季語として用いた俳句には、この蜷の道を詠んだ句が多いようです。

  雄ゆゑのぶれとためらひ蜷の道 (凡茶)

 また、蜷を水槽に入れると、腹の肉を壁にペッタリとくっつけてこちらに見せます。
 何匹もの蜷が大小さまざまな腹をこちらに向けている様子には癒されます。

  水槽に貼りつく蜷やショパン弾く (凡茶)

 上の二句を見てもらうとわかると思いますが、やはり蜷を季語に俳句を詠むときは、季語の持つユーモラスな感じを活かすとよいと思います。
 ただ、そのユーモラスな感じの背後に、蜷という小動物の持つ一抹の哀しさをひそませたいとも思います。


≪本の特集・俳句を通して自然と向き合う≫




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posted by 凡茶 at 19:12 | Comment(0) | 春の季語(動物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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