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● 季語の意味・季語の解説
夏近し・夏隣は、春の終わりに、夏の気配を感じながら用いる季語。
もうそこまで来ている夏への期待感がこもる。
同じ晩春の季語でも、「春惜しむ」が過ぎゆく春に思いを寄せているのとは対照的。
● 季語随想
夏が近づいて来るのを感じると、心が弾んできませんか。
少しわくわくしてきませんか。
その時がチャンスかもしれません。
前から挑戦したかったことに、思い切って着手してみるチャンスかもしれません。
いざ始めてしまえば、自分でも信じられないくらい夢中になれるものです。
うまくいくと、心の中で「待ち遠しくない明日」を生産し続ける毎日に、終止符を打てるかもしれません。
明日が常に待ち遠しくなるかもしれません。
「待ち遠しさ」で心を満たしていけば、「不幸せ」という錯覚が膨れ上がる余地を、心の中から消し去っていくことができます。
● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方
「もうすぐ夏だなあ…」
そんな風に感じた刹那を、俳句に詠んでみましょう。
日常生活の中で見つけたちょっとした変化や、ささやかな出来事などの描写に、夏近し・夏隣という季語を添えてみましょう。
夏近になるや旅僧の白脚絆 (鈴木道彦)
脚絆=きゃはん。裾(すそ)が邪魔にならないよう、脛に巻く布。
夏近く入るや簾に草の色 (嘉十)
簾=すだれ
煮るものに大湖の蝦や夏近し (飯田蛇笏)
大湖=たいこ。 蝦=えび。
木の器溢るるサラダ夏隣 (凡茶)
夏近し靴べらと空同じ色 (凡茶)
あるいは、夏を迎え入れる直前の、清涼感・期待感に満ちた空間を俳句に詠んでみましょう。
清滝に宿かる夏の隣りかな (大島蓼太)
先生と並んでバナナ夏隣 (凡茶)
≪おすすめ・俳句の本≫
佳句が生まれる「俳句の形」 凡茶
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さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。
例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。
●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)
また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。
●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)
筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。
●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
●露の玉工場ドスンと始まりぬ(凡茶)
この本は、こうした佳句の生まれやすい美しい俳句の形を、読者の皆様に習得していただくことを目的としています。
なお、この本は、前著『書いて覚える俳句の形 縦書き版/横書き版』(既に販売終了)を、書き込み型テキストから「純粋な読み物」に改め、気軽に楽しめる形に書き変えて上梓したものです。
あちこち加筆・修正はしてあるものの、内容は重複する部分が多いので、すでに前著『書いて覚える俳句の形』をお持ちの方は、本著の新たな購入に際しては慎重に検討してください。
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