薫風 (夏の季語:天文)

     薫風(くんぷう)  風薫る(かぜかおる)

22夏の季語・天文・薫風.jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 緑の香りをたっぷりと含んだ、すがすがしい夏の風。
 青葉や草花を揺すりながら吹く、涼しい風を思い浮かべるとよい。

 薫風の中に身を置き、深呼吸をすると、生きていることが本当にうれしくなる。


季語随想
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 たまたまテレビを観ていると、ある政治家が次のような発言をしていました。

 「私は最悪の学校教育を受けてきた」

 彼は、きっと学校生活の中でいろいろな思いをしてきたのでしょう。
 あるいは、大人の目線で当時を振り返り、いろいろなことを感じているのでしょう。

 ただ、その発言をテレビで聞いた彼の元教師の中には、きっと心を痛められた先生もいたに違いありません。

 教師も人間です。
 あれこれ考えたり、悩んだりしながら生徒たちと向き合ってきた彼の先生の中には、少なからず傷ついた方もいたことでしょう。

 私の教え子もみな立派な社会人となっていますが、中には、私の与えようとしてきた教育に対し、同じような失望感を抱いている者もいるかもしれません。

 そんなことを考え始めたら、なんだか胸が重くなってしまいました。

 私は、気持ちを晴らそうと、表へ出ました。
 様々な木々の植えられた図書館の周りの散策路を歩いていると、緑を揺らす風がふと薫りました。

 その途端、胸の中を占めていた鉛がすっと消え失せ、体が軽くなるのがわかりました。

 今が風の美味しい季節で、本当に良かったと思いました。

 大人の声と子どもの声の混じった活気のようなものが、遠くから初夏の風によって運ばれてきます。

  球場の遠きどよめき風薫る (凡茶) 


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 「薫風」「風薫る」という季語を目にすると、まず俳句読者は、「すがすがしい香り」を実際に嗅いだ気分になります。

 そして、その次に、瑞々しい「緑」の風景を思い浮かべます。

 ですから、私は、その「緑」の印象を損ねてしまうような派手な色を持つものを、「薫風」「風薫る」という季語とは取り合わせないようにしています。

 古い俳句にも、緑の印象を活かしても損ねないような取り合わせが多く見られます。
 
  薫風や恨みなき身の夏ごろも (与謝蕪村)

  山寺や浮世の外の風薫る (三宅嘯山)

  風薫れ唐とやまとの墨の色 (加舎白雄)

  屏風岩離るる舟や風薫る (子猷)

  薫風に干さるる小さき柔道着 (凡茶)
      小さき=ちさき。

  おかつぱの母ゐる校史風薫る (凡茶)

  薫風や窯のぬくもり残るパン (凡茶)



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posted by 凡茶 at 21:57 | Comment(0) | 夏の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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