南瓜(かぼちゃ) (秋の季語:植物)

     カボチャ なんきん 唐茄子(とうなす)
     ぼうぶら ぼうぶり 栗南瓜

南瓜(かぼちゃ)
37秋の季語・植物・南瓜(かぼちゃ).jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 東南アジアのカンボジアは、ポルトガル語で「カンボジャ」と呼ばれる。
 日本における「かぼちゃ」の呼び名は、この「カンボジャ」に由来すると言われる。

 かぼちゃは漢字で「南瓜」と表記するが、南方のカンボジア方面から持ち込まれた瓜なので、「カンボジャ→かぼちゃ」と名付けられたようだ。

 ただし、かぼちゃの本来の原産地はアメリカ大陸で、大航海時代以降に世界に広まった。
 日本に伝わったのも16〜17世紀(戦国時代から江戸時代前期)ごろと最近であるが、江戸時代のうちに庶民生活に浸透し、俳句にも多く詠まれた。

  鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな (小林一茶)
      鶺鴒=せきれい。

 かぼちゃにはぼうぶら・ぼうぶりの別名もあるが、これもポルトガル語に由来し、瓜を示す「アボボラ」が訛ったとされる。

  ぼうぶりの這うてくぼむや藁の軒 (亀計)
      藁=わら。

 かつて日本で栽培されるかぼちゃの主流は、菊座、黒皮、ちりめんなどの名のつく「日本かぼちゃ」であったが、近年は「西洋かぼちゃ」が主流になった。
 「西洋かぼちゃ」はほくほくとして美味いため、栗南瓜とも呼ばれる。

 なお、ハロウィンに用いられるオレンジ色のかぼちゃはヘポカボチャと呼ばれる種で、ズッキーニと同じ種類である。 


季語随想
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 黒っぽいゴワゴワした皮に覆われた南瓜は、お世辞にも器量良しとは言えない。

 でも、その無骨な皮の中には、人々を幸せにする魅力がいっぱい詰まっている。

 醤油でコトコト煮てやれば、しっとりとして、しかも腹もちの良い煮つけになり、人々を満足させる。

 薄く切って天ぷらにしてやれば、飯や酒の進む気の利いたおかずになり、人々を楽しませる。

 裏ごししてポタージュにしてやれば、やさしい舌触りと味わいで、人々を安心させる。

 ケーキやプディングに練り込んでやれば、素朴で自然な甘さによって、人々を喜ばせる。

 見て呉れはいまいちでも、南瓜は、皮の内側に、たくさんの才能と魅力を宿している。

 外見を良くするために、必死になって金を稼いでいるような人間が多い、そんな世の中だからこそ…

 私は南瓜の真価をわかる人間になりたい。

 そして、自分自身も南瓜になりたい。  


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 どっしりとした南瓜(かぼちゃ)は、野菜の中で最も存在感・安定感のある形をしていると言えます。
 ゆえに、その存在感・安定感をうまく誇張した俳句が多いようです。

 まずは、南瓜の形に「をかし」を見出した俳句を見てみましょう。

  ころげじと裾広がりに南瓜かな (溝口素丸)

  絵手紙とおんなじ南瓜届きけり (凡茶)

 次は、南瓜の存在感・安定感をうまく引き出しつつ、物言わぬ南瓜に「あはれ」を感じた俳句を見てみましょう。

  ずつしりと南瓜落ちて暮淋し (山口素堂)
      南瓜=ここでは「とうなす」と読みます。

  ぼうぶらや斯も荒にし志賀の里 (勝見二柳)
      斯も=かくも。 志賀=琵琶湖南西の地方名。かつて皇居が置かれた古都。

 最後に、南瓜の存在感・安定感に、少し怖さのようなものを感じて詠んだ私の俳句を紹介します。

  夜の爪飛んで南瓜に弾かるる (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

俳句がうまくなる100の発想法 ひらのこぼ著
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■ 似たような俳句ばかり作るようになってきたと感じたら、読むべき本です。


 この本の目次に並ぶタイトルから、ほんの一部を引っ張り出して並べてみます。

 「裏返してみる」「動物の顔を詠む」「ドラマを仕立てる」「天気予報をする」「強引に断定する」「名づけてしまう」…

 どうですか?
 目次の一部を眺めただけで、ハッと気付かされたような気になりませんでしたか?

 長い間俳句をやっているいと、「若い頃にも似たような俳句を作ったなあ…」と頻繁に感じるようになります。

 私もずっとそのような状態から抜け出せないでいましたが、この本と出合うことで、それまでの自分とは違った視点で、新鮮な俳句が詠めるようになってきたと感じています。

 俳句作者として10年ほど若返ることができたような、そんな気持ちになっています。


追記
 著者のひらのこぼ氏は、他にも興味深い本をいくつか書いておられるので、以下に紹介しておきます。

俳句がどんどん湧いてくる100の発想法

俳句発想法 100の季語

俳句名人になりきり100の発想法







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posted by 凡茶 at 05:28 | Comment(0) | 秋の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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