ねこじゃらし (秋の季語:植物)

     ねこじやらし 猫じゃらし 猫じやらし
     狗尾草・犬ころ草(えのころぐさ・ゑのころぐさ)
     狗子草・犬子草(えのこぐさ・ゑのこぐさ)
     紫狗尾 金狗尾 浜狗尾

ねこじゃらし(狗尾草:えのころぐさ)
37秋の季語・植物・ねこじゃらし(狗尾草:ゑのころぐさ).jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 ふさふさした花穂(かすい)を猫の前で揺らしてやると、獲物と間違えて、手を出してきてかわいらしい。
 そのため、ねこじゃらしの俗称がつけられている。

 正しい呼称は「エノコログサ」であるが、これは、花穂が犬(狗)の尾に似ていることに由来する。
 つまり、「犬っころ草」が転じてエノコログサ(狗尾草)、エノコグサ(犬子草)となった。

 道端、空き地など、身の回りのどんな場所にでも生え、なじみ深い。

 穂の出始めは緑色をしているが、秋も深まると色づき、ワインレッドになるもの(紫狗尾:ムラサキエノコロ)や黄金色になるもの(金狗尾:キンエノコロ)もある。

 また、海岸付近に生える浜狗尾(ハマエノコロ)は、内陸のエノコログサよりも穂が短い。

 この季語を旧仮名遣いの平仮名で俳句に用いる場合は、ねこじやらしゑのころぐさ・ゑのこぐさと表記する。


季語随想
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 気が弱いよりは、気が強い方がいいな。

 ただ、気の強さが他人に向くようだったら、気が弱いままでいいね。

 気の強さが、他人じゃなくて、自分に向く人は立派です。

 でも、そんな立派な人は、上手に自分を許してやれるようにならないと、疲れちゃうよね。

 疲れてきそうになったら、路傍のねこじゃらしを一本引きぬいて、

 高い高い秋の空を撫でてみよう。

 疲れてきそうになったら、まるまる太ったねこじゃらしを一本引きぬいて、

 高い高い秋の空をくすぐってみよう。

  月曜の空撫でてみるねこじやらし (凡茶)


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 工場や商店の跡地、過疎地の路傍などにねこじゃらし(狗尾草:えのころぐさ)が群れているのを見つけると、なんとなく寂しさを覚えます。
 俳句においても、ねこじゃらしの句にはどことなく「あはれ」があります。

  犬の塚狗子草など生えぬべし (正岡子規)
      狗子草=えのこぐさ。

 ただ、ねこじゃらしのふさふさとし花穂は、やはり「おかしみ」があります。
 そのため俳句には、ねこじゃらしを親しみをこめてからかうように、あるいは可愛がるよう詠んだ作品が多く見られます。
 いくつか見ていきましょう。

  香にふれよ菊のあたりのゑの子ぐさ (加藤暁台)

 この句の主役は、高貴な菊ではありません。
 言うまでもなく卑近なゑの子ぐさ(ねこじゃらし)です。

  女郎花ゑのころ草になぶらるる (野童)

 この句では、ゑのころ草(ねこじゃらし)はクセのある脇役となり、主役の女郎花(おみなえし)をよく引き立てています。

  よい秋や犬ころ草もころころと (小林一茶)

 一茶の句は、常に小動物や草花への愛情にあふれています。

 最後に現代の俳句を二句。

  七草にもれて尾をふる猫じやらし (富安風生)

  月曜の空撫でてみるねこじやらし (凡茶)


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 例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)

 また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 

  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

 筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。

  ●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
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俳句がうまくなる100の発想法 ひらのこぼ著
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■ 似たような俳句ばかり作るようになってきたと感じたら、読むべき本です。


 この本の目次に並ぶタイトルから、ほんの一部を引っ張り出して並べてみます。

 「裏返してみる」「動物の顔を詠む」「ドラマを仕立てる」「天気予報をする」「強引に断定する」「名づけてしまう」…

 どうですか?
 目次の一部を眺めただけで、ハッと気付かされたような気になりませんでしたか?

 長い間俳句をやっているいと、「若い頃にも似たような俳句を作ったなあ…」と頻繁に感じるようになります。

 私もずっとそのような状態から抜け出せないでいましたが、この本と出合うことで、それまでの自分とは違った視点で、新鮮な俳句が詠めるようになってきたと感じています。

 俳句作者として10年ほど若返ることができたような、そんな気持ちになっています。

追記:
 著者のひらのこぼ氏は、他にも興味深い本をいくつか書いておられるので、以下に紹介しておきます。

俳句がどんどん湧いてくる100の発想法

俳句発想法 100の季語

俳句名人になりきり100の発想法





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posted by 凡茶 at 18:46 | Comment(0) | 秋の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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