初日 (新年の季語:天文)

     初日の出 初日影(はつひかげ)
     初旭(はつあさひ)

初日の出
52新年の季語・天文-初日【イラスト】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 元日に見る日の出を初日(はつひ)、あるいは初日の出という。
 初日影、初旭も同様である。

 山頂や海辺に出かけて拝むこともあれば、家の窓から拝むこともある。


季語随想
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 二十代の頃、初日に赤く染められた町の風景は、私の目に凛として映った。

  塩のパン列車にちぎる初日かな (凡茶)

 凛たらん…
 若き日の私は、希望あるいは野望に向かって、常にそうあるべきだと自分を律していた。

 時にその思いは、凛とできない自分や他人に対する厳しさに転じた。

 しかし、歳を重ねるにつれ、人間には凛とすることから解放される時間がとても大切であることが、身にしみてわかるようになった。

 私は、それを「ゆるび」と呼んでいる。

 凛とゆるび…
 ゆるびを大切にすることで、近頃は初日の出の風景も、若い頃とは違ったものになって目に飛び込んでくる。

  屋根屋根を渡り猫来る初日かな (凡茶)


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 まずは坡仄(はそく)の詠んだ次の句を見てください。

  なにごととなくて嬉しき初日かな (野間坡仄)

 この句に詠まれている通り、初日というのは、いつもの日の出と同じように出てくるのにもかかわらず、辺りを瑞祥の気で満たしてしまいます。

 ですから、初日・初日の出を季語に俳句を詠むときは、初日とともに目に飛び込んできた何気ない風景や、初日を見ている自分の何気ない状況を写生するだけで、めでたい、あるいは厳かな新年の気が伝わる一句に仕上がります。

  麓には水のつめたき初日かな (一鼠)
 
  飛沫撒く鉤の魚へ初日かな (凡茶)
      飛沫=しぶき。 鉤=はり。 

  太らせてしまひし猫と初日かな (凡茶)

 もちろん、初日という季語は大景を詠むのにも適しています。
 果敢にチャレンジしましょう。

  初日影まづ出でたりな生駒山 (上島鬼貫)
      出でたりな=「出でたなあ…」の意。

 また、初日そのものではなく、初日の出の瞬間の、人々の喜びを伝える俳句も詠んでみましょう。
 うまくいくと、同じ様な興奮を読者に味わってもらえる句になります。

  行列のはれや初日の日本橋 (松井)
      はれ=驚いたり、感動したりした時に発する語。現代の「オーッ!」にあたる。


≪おすすめの本≫

新版20週俳句入門 藤田湘子著
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■ どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになる本です

 昭和63年に出された旧版『20週俳句入門』があまりにも優れた俳句の指導書であったため、平成22年に改めて出版されたのが、この『新版20週俳句入門』です。

 この本は、
   〔型・その1〕 季語(名詞)や/中七/名詞
   〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
   〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
   〔型・その4〕 季語/中七/動詞+けり

 の4つの型を、俳句を上達させる基本の型として、徹底的に読者に指導してくれます。

 これらをしっかり身につけると、どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになるでしょう。

 王道の俳句を目指す人も、型にとらわれない斬新な俳句を目指す人も、一度は読んでおきたい名著です。



にんげんだもの 相田みつを
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■ 厳選された言葉の力に触れ、たちまち目頭が熱くなりました。


 20年以上前になると思いますが、書店でなにげなくこの本を手に取り、最初の数ページを読んでみた時の感動を今も忘れていません。
 たちまち心が震え、目頭が熱くなり、その場で感涙をこぼしそうになったので、あわててレジに向かったことを覚えています。

 この本は俳句の本ではなく、書の本ですが、掲載されている数々の作品は無駄のない厳選された言葉で読み手の心を打つ短詩であり、俳句を創る上で大いに参考になります。
 まだ、読んだことのない俳句作者には、ぜひとも読んでいただきたいと思います。

 近頃のインターネットには憎悪や侮蔑の感情から生み出された言葉が氾濫しており、それが若者たちの心にどのような影響を与えているのか、今後が心配でなりません。
 私は、憎しみや蔑みの言葉ばかりに触れ心の荒んでしまった若者たちに、命のこもった本物の言葉に接してもらいたいという思いからも、相田みつをさんの本を紹介することにしました。

 以下に、『にんげんだもの』以外の本、および、『にんげんだもの』も含んだ相田みつをさんの作品集も紹介しておきます。


一生感動 一生青春

雨の日には…

しあわせはいつも

じぶんの花を

相田みつを作品集







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posted by 凡茶 at 06:00 | Comment(0) | 新年の季語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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