手毬 (新年の季語:生活)

     手鞠  てまり 手毬唄 手毬歌

手毬
54新年の季語・生活・手毬【イラスト】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 丸めた綿を芯にし、その表面を色とりどりの糸でかがった毬(まり)。
 正月に女の子が地面と手のひらの間で弾ませて遊ぶ。

 新年の季語として、江戸時代の俳句(俳諧の発句)にも積極的に詠み込まれている。

 また、手毬をつく際に口ずさむ歌が手毬唄で、そのもの悲しい旋律を聴くと、詩情をそそられる。  


季語随想
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 手毬、羽子板、独楽(こま)、凧、歌留多、花札、将棋…

 昔からある玩具は、みな遊び道具であると同時に、優れた美術品でもあります。

 西洋のチェスやトランプ、中国の麻雀牌も同じです。

 玩具が親から子、子から孫へ受け継がれて「文化」として定着するためには、見た目の芸術性も必要ということなのかもしれません。

 近年、日本のTVゲーム(コンピューターゲーム)が、世界に誇れる文化の一つとしての地位を獲得しつつあります。

 それも、ディスプレイに表示される絵の美しさに裏打ちされたことなのかもしれません。

 手毬や羽子板を愛でるのと同じ目線で、TVゲームの持つ芸術性にも目を向けられるようになれば、俳人としてまた違った美の世界を見出せるようになるのかもしれません。

 手毬について書きながら、ふとそんなことを思いました。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 手毬はお正月の玩具ですから、手毬を季語とする俳句には、じつに楽しげな状況を詠んだものがあります。 

  汁鍋に手鞠はね込む笑ひかな (夏目成美)

 ただ、女の子が手毬をつく姿、そしてその時に口ずさむ手毬唄は、どこか寂しさ、哀しさを帯びています。
 ゆえに、微笑ましさの中に、ほんのり寂びしさや哀しさもにじんでいる俳句が、単に楽しい俳句よりも多く作られ、人々の心を打ってきました。

  口馴れし百や孫子の手毬うた (炭太祇)
      孫子=まごこ。

  鳴く猫に赤ん目をして手まりかな (小林一茶)

 上の太祇(たいぎ)と一茶の俳句は、女の子の手と地面の間で弾んでいる手毬を詠んでいますが、静かに置かれた手毬を詠んだ俳句は、より寂しさ、哀しさが深まるように思えます。

  傾城のわらべがましき手毬かな (万容)
      傾城=けいせい。美しい女性、特に位の高い遊女を指す言葉。
      わらべがましき=子どものような

  嫁がせし数納まれり手毬箱 (凡茶)


≪おすすめ・俳句の本≫

新版20週俳句入門 藤田湘子著
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   〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
   〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
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 の4つの型を、俳句を上達させる基本の型として、徹底的に読者に指導してくれます。

 これらをしっかり身につけると、どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになるでしょう。

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posted by 凡茶 at 00:11 | Comment(0) | 新年の季語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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