短日 (冬の季語:時候)

     短日(たんじつ) 日短(ひみじか)
     短景 暮早し 暮易し 日つまる

湖畔の短日
41冬の季語・時候・短日.jpg
        デジカメ写真


● 季語の意味・季語の解説

 冬はあっと言う間に日が暮れてしまい、昼が随分と短く感じられる。
 その感覚を短日と言う。

 短日の感覚は、日に日に昼間が短くなるのを実感する11月中頃から強くなる。
 そして、最も昼の時間が短い冬至の頃に極まる。

 この感じは、正月、小正月を過ぎ、「日脚伸ぶ」の感覚が得られるようになる1月中頃にはだいぶ弱まる。

 昼の短さは、裏返せば夜の長さであるから、「短日」が冬の季語であるなら、「夜長」も冬の季語でいいと思う人もいるかもしれない。

 しかし、歳時記では、夜長は秋の季語に分類されている。

 あっと言う間に夜が明けてしまう夏の直後の秋の方が、実際には最も夜の長い冬よりも、夜長の静かさを満喫する気持ちが高まるからであろう。

 「日永」(ひなが)が春の季語、「短夜」(みじかよ)が夏の季語になっていることも併せて、日本人の季節感の細やかさを感じる。


● 季語随想

 日の短い12月ともなると、定時に仕事を終え職場を出ても、すでに都会は夜の光で溢れていた。

 年末年始の品々を飾る商店街にも、甘いクリスマスムードを演出する表通りにも、ボーナスが出て気が大きくなったサラリーマンでごった返す裏通りにも、宝石のような光が散りばめられていた。

 人混みが苦手で田舎に引っ込み、もう何年も都会から遠ざかっているこの私でさえ、日が短くなるとあの街騒(まちざい)が懐かしくなる。

 ネオンが、威勢のいい売り声が、なれなれしい客引きが、街角で売る肉まんが、ガード下の焼き鳥が、恋しくてたまらなくなる。

 国民みんなに活力と笑顔があった一億総中流の時代の、都会の街騒が懐かしい。

 一億の中流市民が、労働者としても消費者としても産業を盛り上げ、産業もまた人々の生活を支えた時代の、師走の街騒が懐かしい。

  短日やラの字灯らぬラーメン屋 (凡茶) 


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 歳時記をめくると、座五が「日短=(ひ・み・じ・か)」の四字、すなわち字足らずになっている俳句がいくつも見られます。
 例えば、次のような俳句です。

  買物はたのしいそがし日短 (星野立子)

  人間は管より成れる日短 (川崎展宏)

 これは、日短は、「ひぃみじか」のように、「ひ」と「み」のあいだに「い」に近い音を入れて、五音のように読むこともできるからです。
 関西弁で日短を発音するとこうなります。

 あるいは、日短かは、「ひ_みじか」のように、「ひ」の字と「み」の字のあいだに「間(ま)」をとって、五音のように読むこともできます。
 ですから、字足らずが気になりません。

 こうすると、短日らしいせわしなさが出て、かえって面白い句になることがあります。

 ところで、せわしなさと言えば、一茶の次の句が思い出されます。

  日短やかせぐに追ひつく貧乏神 (小林一茶)

 一茶らしい、生活臭あふれる句です。

 俳句の醍醐味は何と言っても自然詠ですが、せわしなさを詠む短日と言う季語については、生活や社会の断片を詠むのに適していると言えそうです。

  短日や水仕にあかぬ女の手 (西島麦南)
      水仕=すいし。台所の水仕事。

  短日やラの字灯らぬラーメン屋 (凡茶)


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posted by 凡茶 at 17:40 | Comment(0) | 冬の季語(時候) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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