秋の季語<植物> 〜目次ページ〜

コスモス
37秋の季語・植物・コスモス(ウェブ).jpg
        デジカメ写真

コスモスは秋の季語。秋桜とも言う。ピンク、赤、白など優しい花びらの色。細くて柔らかそうな葉と茎。ほっとする花である。生命力が強く、空き地や路傍など、どこにでも生える。


掲載季語(50音順)

<あ行の季語>
朝顔

<か行の季語>

南瓜(かぼちゃ)
茸(きのこ)
コスモス

<さ行の季語>
西瓜
薄(すすき)

<な行の季語>
ねこじゃらし

<ま行の季語>
松茸
紅葉

<ら行の季語>
林檎



≪おすすめ・俳句の本≫

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朝顔 (秋の季語:植物)

     朝顔・蕣・朝皃(あさがお) あさがほ
     アサガオ 牽牛花(けんぎゅうか)

朝顔
朝顔(季語めぐり俳句歳時記).jpg
        デジカメ写真


● 季語の意味・季語の解説

 竿、垣根、格子窓(こうしまど)などに左巻きの蔓(つる)を絡め、晩夏から初秋にかけて藍、紺、白、紅、空色などの花を咲かせる。

  去年の蔓に蕣かゝる垣根かな (山口素堂)
      去年=こぞ  蕣=あさがお

  蕣に垣ねさへなき住居かな (炭太祇)
      蕣=あさがお  住居=すまい

 アジア南部原産で、日本へは奈良時代から平安時代にかけて中国から輸入された。

 もともとは、牽牛子(ケンゴシ)と呼ばれる種から漢方薬をとるための植物であったが(ゆえに牽牛花という呼称が今も用いられる)、江戸時代に入ると、もっぱら鑑賞用に栽培されるようになった。

 それ以前は、桔梗(ききょう)や木槿(むくげ)が朝顔と呼ばれていたと考えられるが、牽牛子の花の美しさ、朝早く開いて昼前にはしぼんでしまう儚さが日本人の心をとらえ、この花が朝顔と呼ばれるようになった。

 鑑賞花になってから速やかに庶民の日常に溶け込んだらしく、江戸時代から生活感あふれる句が多い。

  朝皃にほのかにのこる寝酒かな (杉山杉風)

  朝顔に釣瓶とられてもらひ水 (加賀千代女)


● 季語随想

 この朝顔の記事を書こうと歳時記をめくっていて、はっと気付いたことがある。

 それは、次の句を例句として扱っていない歳時記が増えてきたということである。

  朝顔に釣瓶とられてもらひ水 (加賀千代女)

 この句、人口に膾炙(かいしゃ)した句であるが、正岡子規に酷評されて以来、駄句であるとの評価を受けることが増えた。

 「朝顔の蔓(つる)が釣瓶に巻きついた。だから、取り除くのも可哀想なので、もらい水をした。」という、「だから」「なので」の入る説明的で理屈っぽい句だとする評価が最も目につく。

 また、作者が自分自身の優しさを読者に示している、朝顔の擬人化が安易である、といった評価も多いように思う。

 私は、はじめにこの句を批判した子規は、やはり、たいしたものだと思う。

 それまで世間から名句との評価を受けてきた作品を、自分の価値観と美意識に基づいて堂々と批判してみせた子規の姿勢は見習いたい。

 しかし、子規以降にこの句を批判した人々は、子規による酷評の影響を受けずに、自分自身が受けた素直な印象でこれを評価することが出来ていたのだろうか。

 子規の評価を疑った上でこの句と向き合い、子規の主張に影響されることなく評価を下したのならよいのだが、「子規が酷評するのだから、きっとこれは佳句とは言い難い」というような前提で句に接してしまった人も多いのではないだろうか。

 最近の政治と世論の関係を見ていると、自分の意見だけが正しいわけではないと自覚し、中立的な立場から柔らかくものをいう政治家よりも、自分の意見が絶対に正しいというムードを漂わせ、力強く(時には攻撃的に)ものをいう政治家の方に、民衆の支持がわっと押し寄せている。

 強い主張に接すると、それをそのまま自分の主張として受け入れてしまうのは、人の持つ性(さが)なのかもしれない。

 少し話がわき道にそれたが……。

 とにかく、私は、この句を駄句の典型例のように扱う記述を目にするたびに、違和感を抱いてきた一人である。

 人情あふれる江戸時代の市井(しせい)。

 その市井に漂い始める朝餉の香り。

 人に、朝顔をそっとしておきたいと思わせる、初秋の朝の落ち着き。

 指で触れただけで染みたような傷が付いてしまう朝顔の花弁のかよわさ。

 多くの批評家によって蛇足であるとされてきた座五の「もらひ水」は、実は、こうした時空・感触をより強く連想させてくれる、極めて重要で、外すことのできない5字なのではないかと私は思う。

 少なくともこの句、歳時記に載せるまでもない句であるとは、私は思わない。

 後世に伝えなくてもよい句であるとは、どうしても思えない。


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 朝顔には、紺、藍、紫、白、紅、ピンク、空色など、様々な色のものがあります。

 ただし、朝顔の色に焦点を定めた俳句の多くは、紺または藍の朝顔を素材としているようです。

 紺や藍の持つ落着きと深みが、日本人の心を捉えるのでしょう。

  朝がほや一輪深き淵の色 (与謝蕪村)

  朝顔の紺の彼方の月日かな (石田波郷)

  堪ゆることばかり朝顔日々に紺 (橋本多佳子)

  朝顔の藍やどこまで奈良の町 (加藤楸邨)

 上の楸邨の俳句を読んでいただけるとわかると思うのですが、この朝顔の紺・藍は、長い歴史を経て風格を帯びた古い町の風景と、よく調和するようです。

  朝顔や文士気取りで小京都 (凡茶)

 また、朝顔の紺・藍は、まだ光の弱い早朝の空の灰紫色と、本当に相性の良い色だと思います。

  朝顔や濁り初めたる市の空 (杉田久女)
     初め=そめ

  朝顔や一本の塔失せし空 (凡茶)

 さて、朝顔は、江戸時代に鑑賞花となると速やかに市井に普及し、庶民の日常風景の中に溶け込みました。

 そのため、朝顔は、生活感のある、人間臭い俳句を詠むのに適した季語となっています。

  郵便の来て足る心朝顔に (富田木歩)

  朝顔の庭より小鯵届けけり (永井龍男)

  朝顔やすでにきのふとなりしこと (鈴木真砂女)

 また、朝早く開いて昼前にはしぼんでしまう朝顔は、儚さ、寂しさを象徴し、時には人の死を意識させる花としても、俳句に詠まれます。

  朝顔やおもひを遂げしごとしぼむ (日野草城)

  朝顔に手をくれておく別れかな (富安風生)

  朝顔や百たび訪はば母死なむ (永田耕衣)
      百=「もも」と読む。

  朝顔や子でありし日は終りし筈 (中村草田男)
      筈=はず

  朝顔や掃除終れば誰も居ず (中村汀女)

 参考にしてみてください。


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 私は、愛蔵版が出る前の全5巻を持っているのですが、この歳時記のおかげで俳人としてスキルアップし、かつ、日本の風土と文化の素晴らしさを再確認することができました。
 この歳時記は、私の俳句生活におけるかけがえのないパートナーであり、大切な財産でもあります。



歳時記の収録されている電子辞書
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CASIO エクスワード XD-D6500RD



 以前は、句会・吟行といえば、辞書や歳時記などを持参しなければならず、これが結構重いものでした。

 しかし、今は歳時記入りの電子辞書が登場したおかげで、ずいぶん持ち物が軽くなりました。

 例えば、左の電子辞書には、次の歳時記が納められています。

合本俳句歳時記 四訂版
現代俳句歳時記
(春・夏・秋・冬・無季)
ホトトギス俳句季題便覧


 また、次のような収録コンテンツも、きっと俳句の実作、吟行に役立つでしょう。

広辞苑 第六版
全訳古語辞典 第三版
漢語林


 読めない漢字も手書きで検索できますし、俳人にとっては実にありがたいですね!

 この電子辞書には、他にも、百科事典や、日本と世界の文学作品(各1000作品)等、さまざまなコンテンツが収められていて、とにかく飽きません。
 世の中便利になったものです。




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posted by 凡茶 at 04:14 | Comment(0) | 秋の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


茸(きのこ) (秋の季語:植物)

     茸(きのこ・たけ) 菌(きのこ) 木の子 くさびら
     茸山(きのこやま・たけやま)

37秋の季語・植物・茸(きのこ).jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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学生時代に描いた茸.jpg
秋、雨の多い時期になると、湿った土や朽ちた木などに茸がたくさん生える。
 山国では、この茸を狙って、地元の人々が茸狩りに出かける。

 ただし、茸の中には、毒鶴茸(ドクツルタケ)のような食べると死に至ることもある危険な猛毒菌も存在するので、素人だけで茸狩りに行くのは危険。
 慣れるまでは、必ずベテランを同伴することが大切だ。

 かつて、松茸、網茸(アミタケ)、初茸(ハツタケ)、松露(ショウロ)など、土に生える茸はくさびらと呼ばれ、木に生える椎茸、舞茸(マイタケ)、滑子(ナメコ)、栗茸(クリタケ)などの木の子と区別された。

 土に生える茸は人工栽培が難しく、現在、研究段階である。
 これに対し、木に生える茸は、人工栽培が比較的しやすく、季節を問わず、賞味することができる。

 なお、一般にシメジとして流通している茸は、実は、平茸(ヒラタケ)など木に生える茸であり、本当の湿地(しめじ)は土に生える。
 この土に生える湿地を食さない限り、よく言われる「匂い松茸、味しめじ」の本義は理解できない。

 茸は、それぞれの土地の方言で親しまれていることが多く、筆者の地元では花猪口(ハナイグチ)を“じこぼう”、正源寺(ショウゲンジ)を“こむそう”と呼んで、よく取りに行く。

 ちなみに、右上の絵は、学生時代にスケッチした茸。
 上から、タマゴタケ、ハツタケ、ハナイグチ。


季語随想
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■ 一 ■ 茸の個性

 私の祖父はいわゆる茸名人で、父も、私も、それぞれ祖父に連れられ、茸狩りに出かけたことがあります。
 ただ、父と私が一緒に茸狩りに行くことは、私が大学院生の歳になるまで、何故かありませんでした。

 その年、私はどうしても故郷の山で茸狩りをしたくなり、大学院の研究が忙しい中、無理をして都合をつけ、実家に戻りました。
 そして、父と地元のカラマツ林へ、茸を採りに出かけました。

 父と私は、祖父に教わったことを思い出しながら山中を歩きまわり、じこぼう(ハナイグチ)などの茸で、かごを満杯にしました。

 家に戻り、父と酒を酌み交わしながら、母に作ってもらった茸汁を楽しみました。
 すると、父も、私も、意外なことに気付き、驚かされました。

 なんと、茸汁の椀の中の、一つ一つの茸の形に際立った個性があり、どの茸が、どのような場所で採った茸か、鮮明に思い出せるのです。

 傘の厚いもの、へこんだもの、軸の太いもの、曲がったもの…
 そういう一つ一つの茸について、これはズボンを汚しながら下った急斜面で採ったとか、これは木々の疎らな落ち窪んだ湿地で採ったとか、そういうことをいちいち思い出せるのです。

 採る時からべっぴんだと思っていた茸が箸にかかると、なんだか食べるのが惜しくなってみたり、採る時には不細工だと思っていた茸が意外に美味しかったりすると、得をした気分になったり…

 とにかく、とても楽しい酒になりました。
 忘れられない大切な日になりました。

 その後、すぐに父は脳出血で倒れ、しばらくして他界しました。
 ですから、これが父との最初で最後の茸狩りになりました。

 あの年の秋、私はなぜ、突然郷里の山で茸狩りがしたくなったのでしょうか。
 大学院での研究を中断し、アルバイトの休みも頂いてまで、なぜ田舎で父と茸を採りたくなったのでしょうか。

 第六感ってやつかもしれませんね。

  採りしより贔屓の茸我が椀に (凡茶)
      贔屓=ひいき。


■ 二 ■ 茸は安心も味のうち

 少年時代、山道でタマゴタケを偶然に見つけたことがあります。
 タマゴタケを見るのはその時が初めてでしたが、図鑑などで、とても美味しい茸であることを知っていたので、喜んで採って帰りました。

 しかし、いざ食べるとなると勇気が要りました。
 なぜなら、タマゴタケは、毒キノコの多いテングタケの仲間であり、もし別の茸と間違っていたら、命にかかわる大変なことになるからです。

 そこで、私は、「このタマゴタケは俺一人で食うから、母ちゃんは口にしちゃダメだ」と宣言してから、母に吸い物を作ってもらいました。
 ところが、母は私の言ったことを無視して、吸い物を作っている最中に、その汁を味見してしまったのです!

 思わず私は、「食べるなと言ったろ!」と母を怒鳴ってしまいました。

 その後、私はタマゴタケの吸い物をすすり、結局は無事でしたが、ビクビクしながら口にしたので、味なんてわかりませんでした。
 何より、母の体が心配で、しばらく気が休まりませんでした。

 「茸は安心も味のうち」とよく言います。
 心配しながら食べても、ちっとも美味しく感じません。

 茸を美味しく食べる最大のコツは、絶対に安全とわかっているものしか口に入れないことです。

 知らない茸、少しでも不安のある茸は、食べてはならないし、はじめから採らないようにすることが大切です。


■ 三 ■ 私の処女作

 以前、俳句雑誌か何かで、有名な俳句の先生たちの処女作(第一作目)を紹介していたことがあります。
 それを読んで、私は唖然としました。

 そこに並んでいる俳句が、どれもこれも、みな完成度の高い優れた作品ばかりなのです。

 「高名な俳人は才能が違うから、最初からこんな立派な俳句を詠めるんだろう」と思ってみたり…

 「これはウソだろ。素人が最初からこんな秀作を詠めるはずが無い。いろいろと手を入れて、もはや発表当時の原型はとどめてないはずだ」と思ってみたり…

 それはさておき、私が大学の俳句会に入って最初に詠んだ句は、「茸」を季語に据えた次の俳句です。

  きのこ汁ぬめり坊主の湯あみかな (凡茶・処女作)

 茸汁を、ぬめり坊主という実在しない人物の湯あみに見立てた安直な句です。
 しかも、切れ字「かな」を、その効用もわからずに用いています。

 これが私の処女作です。

 駄句ですが、この句だけは直さずに、そのままにしておこうと思います。
 こんな俳句を詠むために、数週間も試行錯誤を続けた当時の自分を思い出し、時折クスッと思い出し笑いするために。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 茸は愛嬌のある形をしています。
 ですから、愛嬌のある俳句が出来あがるようです。

  釣鐘のいぼの落ちたる松露かな (椎本才麿)
      松露=しょうろ。軸に傘の乗る形はしておらず、丸い形をしている。

  初茸やひとつにゑくぼひとつづつ (雲津水国)
      初茸=はつたけ。分厚い傘を持つが、中央がへこんでいる。

  扇にてしばし数へるきのこかな (小林一茶)

 読み手がくすりとほほ笑むような一句が生まれるとしめしめですね。

 さて、次は私の俳句を紹介。
 天然の茸には、その茸が育った山の、落ち葉の香りが凝縮されています。

 そういう茸を、気心の知れた仲間と食べると、その土地への愛着と敬意が深まる気がします。

  呑兵衛も下戸も訛れりきのこ鍋 (凡茶)
      呑兵衛=のんべえ。酒好きのこと。  下戸=げこ。酒の苦手な人。      



≪おすすめ・俳句の本≫

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==============================
■ 似たような俳句ばかり作るようになってきたと感じたら、読むべき本です。


 この本の目次に並ぶタイトルから、ほんの一部を引っ張り出して並べてみます。

 「裏返してみる」「動物の顔を詠む」「ドラマを仕立てる」「天気予報をする」「強引に断定する」「名づけてしまう」…

 どうですか?
 目次の一部を眺めただけで、ハッと気付かされたような気になりませんでしたか?

 長い間俳句をやっているいと、「若い頃にも似たような俳句を作ったなあ…」と頻繁に感じるようになります。

 私もずっとそのような状態から抜け出せないでいましたが、この本と出合うことで、それまでの自分とは違った視点で、新鮮な俳句が詠めるようになってきたと感じています。

 俳句作者として10年ほど若返ることができたような、そんな気持ちになっています。

追記:
 著者のひらのこぼ氏は、他にも興味深い本をいくつか書いておられるので、以下に紹介しておきます。

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ねこじゃらし (秋の季語:植物)

     ねこじやらし 猫じゃらし 猫じやらし
     狗尾草・犬ころ草(えのころぐさ・ゑのころぐさ)
     狗子草・犬子草(えのこぐさ・ゑのこぐさ)
     紫狗尾 金狗尾 浜狗尾

ねこじゃらし(狗尾草:えのころぐさ)
37秋の季語・植物・ねこじゃらし(狗尾草:ゑのころぐさ).jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 ふさふさした花穂(かすい)を猫の前で揺らしてやると、獲物と間違えて、手を出してきてかわいらしい。
 そのため、ねこじゃらしの俗称がつけられている。

 正しい呼称は「エノコログサ」であるが、これは、花穂が犬(狗)の尾に似ていることに由来する。
 つまり、「犬っころ草」が転じてエノコログサ(狗尾草)、エノコグサ(犬子草)となった。

 道端、空き地など、身の回りのどんな場所にでも生え、なじみ深い。

 穂の出始めは緑色をしているが、秋も深まると色づき、ワインレッドになるもの(紫狗尾:ムラサキエノコロ)や黄金色になるもの(金狗尾:キンエノコロ)もある。

 また、海岸付近に生える浜狗尾(ハマエノコロ)は、内陸のエノコログサよりも穂が短い。

 この季語を旧仮名遣いの平仮名で俳句に用いる場合は、ねこじやらしゑのころぐさ・ゑのこぐさと表記する。


季語随想
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 気が弱いよりは、気が強い方がいいな。

 ただ、気の強さが他人に向くようだったら、気が弱いままでいいね。

 気の強さが、他人じゃなくて、自分に向く人は立派です。

 でも、そんな立派な人は、上手に自分を許してやれるようにならないと、疲れちゃうよね。

 疲れてきそうになったら、路傍のねこじゃらしを一本引きぬいて、

 高い高い秋の空を撫でてみよう。

 疲れてきそうになったら、まるまる太ったねこじゃらしを一本引きぬいて、

 高い高い秋の空をくすぐってみよう。

  月曜の空撫でてみるねこじやらし (凡茶)


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 工場や商店の跡地、過疎地の路傍などにねこじゃらし(狗尾草:えのころぐさ)が群れているのを見つけると、なんとなく寂しさを覚えます。
 俳句においても、ねこじゃらしの句にはどことなく「あはれ」があります。

  犬の塚狗子草など生えぬべし (正岡子規)
      狗子草=えのこぐさ。

 ただ、ねこじゃらしのふさふさとし花穂は、やはり「おかしみ」があります。
 そのため俳句には、ねこじゃらしを親しみをこめてからかうように、あるいは可愛がるよう詠んだ作品が多く見られます。
 いくつか見ていきましょう。

  香にふれよ菊のあたりのゑの子ぐさ (加藤暁台)

 この句の主役は、高貴な菊ではありません。
 言うまでもなく卑近なゑの子ぐさ(ねこじゃらし)です。

  女郎花ゑのころ草になぶらるる (野童)

 この句では、ゑのころ草(ねこじゃらし)はクセのある脇役となり、主役の女郎花(おみなえし)をよく引き立てています。

  よい秋や犬ころ草もころころと (小林一茶)

 一茶の句は、常に小動物や草花への愛情にあふれています。

 最後に現代の俳句を二句。

  七草にもれて尾をふる猫じやらし (富安風生)

  月曜の空撫でてみるねこじやらし (凡茶)


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posted by 凡茶 at 18:46 | Comment(0) | 秋の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


南瓜(かぼちゃ) (秋の季語:植物)

     カボチャ なんきん 唐茄子(とうなす)
     ぼうぶら ぼうぶり 栗南瓜

南瓜(かぼちゃ)
37秋の季語・植物・南瓜(かぼちゃ).jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
==============================
 東南アジアのカンボジアは、ポルトガル語で「カンボジャ」と呼ばれる。
 日本における「かぼちゃ」の呼び名は、この「カンボジャ」に由来すると言われる。

 かぼちゃは漢字で「南瓜」と表記するが、南方のカンボジア方面から持ち込まれた瓜なので、「カンボジャ→かぼちゃ」と名付けられたようだ。

 ただし、かぼちゃの本来の原産地はアメリカ大陸で、大航海時代以降に世界に広まった。
 日本に伝わったのも16〜17世紀(戦国時代から江戸時代前期)ごろと最近であるが、江戸時代のうちに庶民生活に浸透し、俳句にも多く詠まれた。

  鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな (小林一茶)
      鶺鴒=せきれい。

 かぼちゃにはぼうぶら・ぼうぶりの別名もあるが、これもポルトガル語に由来し、瓜を示す「アボボラ」が訛ったとされる。

  ぼうぶりの這うてくぼむや藁の軒 (亀計)
      藁=わら。

 かつて日本で栽培されるかぼちゃの主流は、菊座、黒皮、ちりめんなどの名のつく「日本かぼちゃ」であったが、近年は「西洋かぼちゃ」が主流になった。
 「西洋かぼちゃ」はほくほくとして美味いため、栗南瓜とも呼ばれる。

 なお、ハロウィンに用いられるオレンジ色のかぼちゃはヘポカボチャと呼ばれる種で、ズッキーニと同じ種類である。 


季語随想
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 黒っぽいゴワゴワした皮に覆われた南瓜は、お世辞にも器量良しとは言えない。

 でも、その無骨な皮の中には、人々を幸せにする魅力がいっぱい詰まっている。

 醤油でコトコト煮てやれば、しっとりとして、しかも腹もちの良い煮つけになり、人々を満足させる。

 薄く切って天ぷらにしてやれば、飯や酒の進む気の利いたおかずになり、人々を楽しませる。

 裏ごししてポタージュにしてやれば、やさしい舌触りと味わいで、人々を安心させる。

 ケーキやプディングに練り込んでやれば、素朴で自然な甘さによって、人々を喜ばせる。

 見て呉れはいまいちでも、南瓜は、皮の内側に、たくさんの才能と魅力を宿している。

 外見を良くするために、必死になって金を稼いでいるような人間が多い、そんな世の中だからこそ…

 私は南瓜の真価をわかる人間になりたい。

 そして、自分自身も南瓜になりたい。  


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
==============================
 どっしりとした南瓜(かぼちゃ)は、野菜の中で最も存在感・安定感のある形をしていると言えます。
 ゆえに、その存在感・安定感をうまく誇張した俳句が多いようです。

 まずは、南瓜の形に「をかし」を見出した俳句を見てみましょう。

  ころげじと裾広がりに南瓜かな (溝口素丸)

  絵手紙とおんなじ南瓜届きけり (凡茶)

 次は、南瓜の存在感・安定感をうまく引き出しつつ、物言わぬ南瓜に「あはれ」を感じた俳句を見てみましょう。

  ずつしりと南瓜落ちて暮淋し (山口素堂)
      南瓜=ここでは「とうなす」と読みます。

  ぼうぶらや斯も荒にし志賀の里 (勝見二柳)
      斯も=かくも。 志賀=琵琶湖南西の地方名。かつて皇居が置かれた古都。

 最後に、南瓜の存在感・安定感に、少し怖さのようなものを感じて詠んだ私の俳句を紹介します。

  夜の爪飛んで南瓜に弾かるる (凡茶)


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 著者のひらのこぼ氏は、他にも興味深い本をいくつか書いておられるので、以下に紹介しておきます。

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