新じゃが (夏の季語:植物)

     新じやが 新馬鈴薯 新ジャガイモ

新じゃが
27夏の季語・植物・新じゃが.jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 初夏(5月〜6月)に出回る走りのジャガイモを「新じゃが」と言う。
 単に「じゃがいも」と言えば秋の季語。
 
 俳句に用いる場合は、「新じやが」と表記してもいいし、「新馬鈴薯」と書いても「しんじゃが」と読んでもらえる。

 初夏の新じゃがには、秋のじゃがいもほどのどっしりとした味わいはないが、鄙びた香りの中に爽やかさを感じることができる。 


季語随想
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 ジャガイモの原産地は南米のアンデス高地である。
 昼夜の寒暖の差が激しいアンデス高地において、ジャガイモは冷凍と解凍を繰り返しながら徐々に乾燥させられ、チューニョと呼ばれる保存食となる。
 チューニョはインディヘナ(先住民)の食文化には欠かせない重要な食料である。

 このインディヘナの主食であったジャガイモは、ヨーロッパ人によって世界に広められる。
 高冷地アンデスでも育つジャガイモは、ドイツやポーランドなど、冷涼な地域ではとくに重要な農作物となった。

 そしてジャガイモは、1600年頃、オランダ人によって日本にももたらされる。
 オランダ船がジャカルタ港から運んできたため、後に「ジャガ・イモ」と呼ばれるようになった。
 当初は食用ではなく、花の観賞用だったとも言われる。

 そんな、日本では歴史の浅いジャガイモが、今ではすっかり日常の食生活に根づき、われわれに欠かすことのできない食材となった。
 肉じゃがは家庭料理の王様となり、ポテトチップスはスナック菓子の横綱となった。
 そして、新じゃがは、初鰹やタケノコなどとともに、日本人に初夏の訪れを感じさせる代表的な旬の味となった。

 この事実を思い出すたび、私は、「日本文化は、外国の文化を取り入れて自らの日常に組み込むことに長けた文化なんだよなあ」と再認識する。
 日本人は外国の文化を排斥したり否定したりせず、貪欲に自らの文化に取り入れ、自らの一部にしてきたのである。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 「新じゃが」という季語からは、初夏の風の「さわやかな香り」に加え、新じゃがを育む大地の「土の香り」も嗅ぎとることができます。
 私は、この季語の持つ「さわやかな香り」と「土の香り」を生かして、清涼感と力強さの同居する俳句を作っていきたいと思っています。

 次は私の自信作です。
 参考にしてみてください。

  新じやがや野風の先の田舎富士 (凡茶)



≪おすすめ・俳句の本≫

書いて覚える俳句の形 縦書き版/横書き版 凡茶
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■ 当サイトの筆者が執筆したダウンロードするテキストです!


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 俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。

 例えば、次の二句は、上五の名詞で一旦切り、座五の「けり」でも句末を切る形をしています。

  ●月天心貧しき町を通りけり  蕪村
  ●赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり  正岡子規

 次の二句は、形容詞の終止形で中七の後ろを切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●五月雨をあつめて早し最上川  芭蕉
  ●鐘ひとつ売れぬ日はなし江戸の春  其角

 このテキストは、このような俳句の美しい形を、読者の皆様に習得していただくことを目的としています。

 ダウンロードしたpdfファイルのお好きなページをプリンターで印刷し、そこに直接名句を書き込むことで、心に響きやすい俳句の形を身につけていただきたいと願っています。

 なお、本来俳句は縦書きで表記するものですが、パソコン画面上で読む機会が多くなる方のために、縦書き版のほかに、横書き版もご用意しました。
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 また、ダウンロード版と一緒に製本版も購入できますので、よろしかったら検討してみて下さい。

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   ダウンロード本『書いて覚える俳句の形』の紹介

  


俳句の入口 〜作句の基本と楽しみ方 藤田湘子著
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■ 俳句はリズムである… 大切なことを教えてくれた一冊です。


 左の本に出会うまでは、伝えたいこと、表現したいことを無理やり五七五の定型に詰め込むような俳句作りをしていました。

 つまり以前の私にとって、定型は約束事だから仕方なしに守る制約にすぎなかったのです。

 しかし、この本を読んで、俳句は韻文であり、大切なのはリズムであることを知ると、定型、切れ字等の大切さが少しずつわかるようになっていきました。

 「意味」から「音」へ!
 私の俳句に対する意識を大きく変えてくれた一冊です。



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posted by 凡茶 at 19:48 | Comment(0) | 夏の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


筍(たけのこ) (夏の季語:植物)

     竹の子 笋 タケノコ たかんな たこうな

筍(たけのこ)
27夏の季語・植物・筍(たけのこ).jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 土の中を走る竹の根茎の節から生じる若芽のこと。
 たかんな、たこうなとも言う。

 孟宗竹(もうそうちく)、淡竹(はちく)、真竹(まだけ)、根曲がり竹(ねまがりだけ;笹の仲間)などを食用とする。
 初夏を代表する味覚である。 

 筍(たけのこ)は、掘りたてを、ぬかを溶いた湯で皮つきのまま下茹でして「えぐみ」をとる。
 下茹でした筍は、炊き込みご飯、煮もの、てんぷら、吸い物などにすると美味しい。


季語随想
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 長野県の北部(北信地方)では、根曲がり竹の筍(たけのこ)摂りが地元の人の楽しみになっているようです。
 根曲がり竹はスラリと細い筍で、先の方はシコシコと軟らかく、根の方はコリコリと硬く、いろいろな歯触りを楽しめます。

 摂ってきた筍は、味噌で味をつけた筍汁にされます。
 そしてその筍汁には、必ずと言っていいほどサバの水煮の缶詰が入るようです。
 私もいただいたことがありますが、筍と水煮のサバの相性は抜群で、やみつきになります。

 缶詰のサバを使う料理であるということから、その歴史はあまり古くないと思われますが、もはや立派な郷土料理として地元に定着しています。

 今、日本には世界中の料理がどんどん伝えられていますが、長野県北部の筍汁のような新しい郷土料理が各地に生まれ、地元民によって育てられていくことを願ってやみません。

  筍の汁炊く音や姥の酌 (凡茶)
      姥=うば。老女のこと。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 すくすくと成長して、やがて若竹になる筍(たけのこ)は、元気さと健やかさの象徴です。
 ですから、筍という季語は子供との相性が良く、子供、もしくは子供時代に関係するものなどと、よく取り合わせられます。

  たけのこや稚き時の絵のすさび (松尾芭蕉)
      稚き=おさなき。 すさび=「遊び」と書く。心をそのおもむくままに任せること。
  
  たけの子や畠隣に悪太郎 (向井去来)

  竹の子や児の歯ぐきのうつくしき (服部嵐雪)
      児=ちご。      

 また、まだ背が低いのに、とがった先っちょで天を衝(つ)こうとしている筍の容姿はなんともユーモラスです。
 筍を季語に俳句を作ると、どこかユーモラスな作品になることを自覚しておくと、句作の手助けになるかもしれません。

  竹の子に小坂の土の崩れけり (斯波園女)

  笋やひとり弓射る屋敷守「 (吉分大魯)
      笋=たけのこ。

  筍や総理に似たる鄙の人 (凡茶)
      鄙=ひな。田舎のこと。



≪おすすめ・俳句の本≫

俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



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posted by 凡茶 at 19:10 | Comment(0) | 夏の季語(植物) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


病葉 (夏の季語:植物)

     わくらば

病葉(わくらば)
27夏の季語・植物・病葉(わくらば)(ウェブ).jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 夏、周囲の葉が青々としている中、蝕まれて赤や黄に色づいた葉を見かけることがある。

 そんな葉を病葉(わくらば)と呼ぶ。


季語随想
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 葉っぱはやがて色づきます。
 晩秋には、鮮やかな赤や黄に色づきます。

 それまで待てばいいのに、夏のうちに色づいてしまった葉っぱは、病葉(わくらば)と呼ばれてしまいます。

 他の葉っぱに先駆けて色づいた先駆者なのに、「病んだ葉っぱ」と呼ばれてしまいます。

 病葉と呼ばれることを恐れずに、勇気を持って、周囲の葉と違う色に自分を変えていけるか。

 それとも、病葉と呼ばれたくないがために、いつまでも周囲の色に自分を合わせつづけるか。

 創造できる者になれるか、なれないかは、そこで決まるのかもしれません。

 先駆者になろうとしている後進に、病葉たれと声をかけられるか、それとも、病葉にはなるなと声をかけるか。

 創造する者を育てる師になれるか、なれないかは、そこで決まるのかもしれません。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 病葉(わくらば)という季語は、用いるのがとても難しい季語です。

 病葉は、すぐに散りゆく葉ですから、「あはれ」の対象になり得ます。
 しかし、緑の中に交じるその赤や黄色には、やはり派手さがあります。

 そんな病葉という季語の個性を生かせる俳句ができるまで、何度でも、何度でも、句を作っては捨て、捨てては作ってみましょう。

 次の私の俳句は、病葉という季語の個性を生かせているでしょうか?

  病葉の凛と反りたる廓跡 (凡茶)
     
         凛=りん 廓跡=くるわ・あと



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俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



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