秋の季語<天文> 〜目次ページ〜

釣瓶落し(つるべおとし)
32秋の季語・天文・釣瓶落し(ウェブ).jpg
        デジカメ写真

秋の夕日は、井戸の中で釣瓶がスルスルと落ちてしまう時のように、あっけなく水平線や山の向こうへ沈んでしまう。だから、秋の落日を指す季語として「釣瓶落し」という言葉が使われるようになった。


掲載季語(50音順)

<あ行の季語>
秋の一つ星
鰯雲

<た行の季語>

露(つゆ)  

<な行の季語>
流れ星
野分(のわき)



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 俳人にとっては実にありがたいですね!

 また、この電子辞書には、歳時記の他にも、各種の辞典文学作品等、さまざまなコンテンツが収められていて、とにかく飽きません。
 世の中便利になったものです。



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posted by 凡茶 at 15:06 | Comment(0) | 秋の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


月 (秋の季語:天文)

     有明(ありあけ) 月白(つきしろ)

32秋の季語・天文・月.jpg
        パソコン絵画


● 季語の意味・季語の解説

 月は一年中私たちを見守ってくれているが、季語として用いる場合は秋の季語となる。

 秋の夜空は湿り気が少なく澄んでおり、月がより清らかに見えるためだ。

 白居易が“雪月花時最憶君”(雪月花の時、最も君を憶ふ)と詠んで以来、東洋において秋の月は、春の花、冬の雪とともに、自然美を代表する景物とされてきた。

 満月とその前後の丸く太った月の明るさは、昼間の太陽以上に「光」の美しさを俳人に意識させる。

  月光を堰きとめてをる木戸あくる (上野泰)

  月明き浜に流木曳きしあと (上田五千石)

 月という季語の副題に有明(ありあけ)という語があるが、これは、空にまだ月が残っているのに、夜明けが訪れた状態を指す。

  有明の月になりけり母の影 (宝井其角)

 また、月白(つきしろ。月代とも書く)という副題は、月の出を前に、空がほんのり明らんできた状態を指し、それだけで独立した季語として扱われることもある。

  月白に色生るるもの消ゆるもの (後藤比奈夫)
      生るる=あるる。


● 季語随想

 太陽は時としてわれわれ人間に牙をむく。

 太陽がいつもより少し熱く燃えるだけで、われわれは猛暑に苦しめられ、

 太陽がいつもより少し己の放つエネルギーを減らすだけで、われわれは寒波に襲われ、かじかむ。

 それに対し、月は……


 月は、いつでもわれわれにやさしい。

 地上では、懲りもせず人間たちが憎しみ合い、罵り合い、脅し合い、煽り合い、奪い合っているが…

 月は、決して人間に牙をむかず、見捨てず、やわらかい光を注ぎ続けてくれている。

 黙って、やさしい光を注ぎ続けてくれている。


 でもね…、

 月は決して人間たちを罰したりはしないけれど…

 きっとひっそり泣いている。


 憎悪が膨れていく、こんな地球に寄り添いながら、

 人間たちには見えない涙を、静かに流している。

  老犬は吠ゆひつそりと月は泣く (凡茶)


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 竹取物語のかぐや姫は、太陽でもなく、ほかの星々でもなく、月へと帰っていきました。

 天文学が発達していなかった大昔から、人類は、我々の暮らすこの地から最も近い場所に浮かぶ天体は月であるということを、直感的にわかっていたのだと思われます。

 それでも、われわれ人類は月に歩いてたどり着くことは出来ない…。

 次の三句は、そんな近いようで遠い、月との微妙な距離感を感じさせます。参考にしましょう。

  あの月をとつてくれろと泣く子かな (小林一茶)

  門を出て五十歩月に近づけり (細見綾子)

  月の人のひとりとならむ車椅子 (角川源義)

 月の光は、太陽のそれと比べやんわりと優しく、心が癒やされます。次の例句のうち、山頭火の作品は自由律俳句です。

  ほつと月がある東京に来てゐる (種田山頭火)

  月更くや読書しやすき無人駅 (凡茶)
      更く=ふく。夜が深くなる。

 淡い月の光は夜闇の中に幻想的な景をつくり出します。芸術映像や芸術写真のような俳句も詠んでみたいものです。

  藻をくゞって月下の魚となりにけり (長谷川かな女)

  一灯なく唐招提寺月明に (橋本多佳子)

 ただ、やはり、月の光は「ものかなしさ」を帯びています。私の愛する月の名句は、どれも月の持つ「ものかなしさ」を上手に作品に取り入れています。

  月天心貧しき町を通りけり (与謝蕪村)

  こんなよい月を一人で見て寝る (尾崎放哉)

  三日月がめそめそといる米の飯 (金子兜太)

 上の例句のうち、放哉の作品は自由律俳句です。



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 さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。

 例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)

 また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 

  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

 筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。

  ●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
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posted by 凡茶 at 09:58 | Comment(0) | 秋の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


露(つゆ) (秋の季語:天文)

     白露  露の玉  露けし
     露時雨(つゆしぐれ)

32秋の季語・天文・露.JPG
朝露
        デジカメ写真


● 季語の意味・季語の解説

 秋、日差しが弱まり、夜が長くなると、地面や草葉がよく冷やされる。
 すると、空気中の水蒸気がそれらに触れて凝結し、水滴となる。
 それが露である。

 露は日の光を反射して白く輝くため、白露という表現がよく用いられる。

  白露や茨の刺にひとつづゝ (与謝蕪村)
      刺=とげ

  白露に阿吽の旭さしにけり (川端茅舎)

  白露や一詩生れて何か消ゆ (上田五千石)

 また、顔を近くに寄せて一粒一粒を凝視すると、周囲の草木などが映り込んで実に美しく、あたかも宝玉のようである。
 したがって、球状の露を、露の玉という言葉で形容した俳句も多い。

  草の葉を游びあるけよ露の玉  (服部嵐雪)
      游び=あそび

  露の玉蟻たぢたぢとなりにけり (川端茅舎)
      蟻=あり。
      原句において、たぢたぢの後半部分はくりかえし記号。
 
 降りた露に濡れ、辺りが湿っぽくなった様は露けしと表現される。

 和歌においては、涙で瞳が濡れた状態を連想させる語として「露けし」が用いられてきたので、そのようなムードもどこかに感じながら使ってみたい。

  生きるとは死なぬことにてつゆけしや (日野草城)

  露けしや妻が着てゐる母のもの (細川加賀)

 晩秋ともなると、草原などの広い土地が、一面露に覆われることもある。
 そのような状態を、まるで時雨(しぐれ)が降ったあとのようであるため、露時雨という。
 露時雨は、歳時記によっては独立した季語として扱われる。

  露しぐれ宇治を離れて路細し (三宅嘯山)

  折りさして枝見る猿や露しぐれ (高桑闌更)

  露しぐれ御寺に酔ひをさます夜か (加舎白雄)

   
● 季語随想

 ページの冒頭に掲げた朝露の写真が撮れた時、二つの露の玉が、同じ夢を持ち、同じ空を見遣る友のように見えた。

 微妙な距離感を保つ男女に見えても良かったはずだ。

 にらみ合う一触即発の敵同士に見えても良かったはずだ。

 逃げるこそ泥と、追う岡っ引に見えても良かったはずだ。

 あるいは、二つの大きな露の玉の間にある小さな露の玉にも着目すれば、仲の良い三人の親子に見えても良かったはずだ。

 それでも、二つの露の玉が友に見えたのは、ともに太陽を見据えるようにして、斉しい輝きを放っていたからだと思う。

 かつて私にも、同志と呼べる友がいた。

 同じ目標に向かって、一生懸命に汗を流してきた友がいた。

 彼とは、私の未熟さが理由で別々の道を歩み始め、すっかり疎遠になってしまったが、かけがえのない友であったことを今更のように噛みしめている。

 自分で撮った朝露の写真を見て、本当に大切にすべき人を大切にしてこなかったことへの悔いが、ぶり返している。


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 次の二句は、輝き、透き通る露の玉にピントを合わせ、その美しさを強調しています。
 いずれも暗誦しておきたい名句です。

  芋の露連山影を正しうす (飯田蛇笏)

  金剛の露ひとつぶや石の上 (川端茅舎)

 次の二句は、ぎりぎりまでズームアップすることで、液体としての露の玉の振る舞いを生々しく感じさせる句となっています。

  露ふたつ契りしのちも顫へをり (真鍋呉夫)
      顫へ=ふるえ

  露の玉工場ドスンと始まりぬ (凡茶)

 次の三句は、一粒・二粒の露の玉ではなく、たくさんの露、無数の露が一体となって生み出す美を描いています。

  白露にざぶとふみ込む烏哉 (小林一茶)

  蔓踏んで一山の露動きけり (原石鼎)
      一山=いっさん

  ショパン弾き了へたるままの露万朶 (中村草田男)
      了へ=おえ(終え)
      万朶=ばんだ。多くの花をつけた枝のこと。

 ところで、露という季語は、上の草田男の俳句の露万朶のように、他の語と組み合わせて用いると良い味を出すことがあります。
 朝露、夜露、露の宿、露葎(葎=むぐら。生い茂る雑草のこと)、露燦々(燦々=さんさん。光輝くさま)などなど…。

 読者の皆様も、露を使った様々な組合せにチャレンジして下さい。

  錦木も暮れてまじるや露葎 (福永耕二)

  子の初潮妻ささやけり露燦々 (能村登四郎)

 さて、露は、日が少し高くなったり、風が吹いたりするだけで、あっけなく消え去ってしまいます。
 したがって、儚いもの、哀愁を感じさせるものとして俳句に詠まれることも多いようです。

 以下の名句を鑑賞してみて下さい。

  露の世は露の世ながらさりながら (小林一茶)

  白露や死んでゆく日も帯しめて (三橋鷹女)

  露けさや天の深きを知る齢 (野見山朱鳥)

  露の夜に生れて怺へきれず泣く (山口誓子)
     怺へ=こらえ

 上の四句のうち、一つ目の一茶の句は、歳をとってから授かった幼い娘が亡くなり、その悲しみから癒えないうちに詠まれたものです。



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posted by 凡茶 at 13:31 | Comment(0) | 秋の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


秋の一つ星 (秋の季語:天文)

     南の一つ星 フォーマルハウト 北落師門

32秋の季語・天文・秋の一つ星.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
==============================
 秋の夜空を眺めると、北の空には、ベガ(織女)、アルタイル(牽牛)、デネブの作る大三角形や、カシオペヤ座(碇星:いかりぼし)などの星たちが賑やかに瞬いている。
 天の川もくっきりとしている。

 しかし、南の空には明るい星がほとんどなく、白い星が一つだけ淋しげに灯っている。
 この星を日本では、「秋の一つ星」、あるいは「南の一つ星」と呼んできた。
 
 この星の正式名称はフォーマルハウトで、みなみのうお座の一等星である。
 中国名は北落師門。 
 周囲に目立つ星がないため、航海においては重要な星であった。

 この秋の一つ星、あまり俳人に顧みられることもなく、独立した季語として扱っている歳時記はほとんど無いのではないだろうか。
 天文に興味のある人なら、秋の星と言えばすぐに思いつく代表的な星なのだが…。

 私は、このぽつねんと淋しげな星を見ると、何やら強く詩心が動かされる。
 いつか多くの俳人の目にとまり、歳時記でも扱われるようになってほしいものだ。


季語随想
==============================
 秋の一つ星、フォーマルハウトは、あまり人々の目に止まらない。
 太陽系の星を除けば、全天の星の中で17番目に明るい一等星なのだが…

 おそらく周りの空が、他に明るい星の無い、賑やかさを欠く地味な空だからであろう。

 人間社会にも、明るい光を放つ才能を持ちながら、置かれた境遇ゆえに人目に止まらないままでいる秋の一つ星が、きっといっぱいいるに違いない。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
==============================
 上の「季語の意味・季語の解説」でも述べたとおり、「秋の一つ星」「南の一つ星」という言葉は、俳句の季語としての地位をまだ獲得していません。

 ゆえに、この語の活かし方は、この星に魅力を感じ、季語として詠みたいと思ってくれた人が、実際に俳句を作って確立していくことになります。

  貸しビルの林に秋の一つ星 (凡茶)

 読者のみなさんも、まずはこの星を秋の南天に見つけ出し、何かを感じることから始めてみてください。



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  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
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posted by 凡茶 at 02:42 | Comment(0) | 秋の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


野分(のわき) (秋の季語:天文)

     野分(のわき・のわけ) 野分立つ(のわきだつ)
     野分跡・野分後(のわきあと) 野分晴(のわきばれ)

野分
32秋の季語・天文・野分.jpg
        パソコン絵画


● 季語の意味・季語の解説

 野の草を分けて吹くような秋の暴風を野分(のわき)と呼ぶ。

 江戸時代から盛んに使われてきた季語であるが、立春より数えて二百十日から二百二十日の頃(現在の9月1日〜11日頃)によく吹くとされているので、多くは台風を指していたと考えられる。

  野分まだをり一叢の屋根草に (凡茶)
      一叢=ひとむら。草などの群れた一かたまり。

 ただ、野分を用いた俳句を鑑賞する場合には、「野分イコール台風」ではなく、「野分とは台風やそのほかの要因で吹く秋の暴風全般である」という捉え方で、その句を読むべきであろう。

  釣鐘のうなるばかりに野分かな (夏目漱石)

  大原女の居すくまりたる野分かな (巌谷小波)

 副題の野分跡・野分後(のわきあと)は野分が過ぎ去ったあとの荒涼たる様、野分晴(のわきばれ)は野分のあとの眩しく晴れ渡った様を思い浮かべるとよい。

  水寒し野分のあとの捨筏 (加舎白雄)
      筏=いかだ

  道艶にして山へ入る野分後 (藤田湘子)
      艶=「えん」と読む。

  小虫食む小虫あちこち野分晴 (凡茶)
      食む=「はむ」と読む。


● 季語随想

 不安などという実体の無い幻を、野分が吹き飛ばしてくれたことがある。

 10年ほど前の夜のことだ。

 それ以来、挑戦しない理由を考え出しては自分に言い聞かせるような毎日とは決別した。

 己の心に正直に進もう…

 そう決心したら、全身を揺さぶってくる荒々しい野分が、なんだかとても心地よくなった。


● 古今の俳句に学ぶ季語の活かし方

 荒々しい野分(のわき)に感じる美は、「きびしさ」という美であると思います。
 野分を季語に、「きびしさ」のある俳句を詠んでみましょう。

 いくつか例を示したいと思います。

  吹とばす石はあさまの野分かな (松尾芭蕉)
      あさま=浅間山。活火山である浅間山の山麓は、溶岩の風化した岩や石が転がっている。

  岩端の鷲吹きはなつ野分かな (大島蓼太)
      岩端の鷲=岩の先に止まっているワシ。

  鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分哉 (与謝蕪村)
      鳥羽殿=とばどの。平安時代中期に白河上皇が現在の京都市伏見区に造営した離宮。
      哉=かな。

  荷車の下に鶏鳴く野分かな (羅蘇山人)

  いちはやく火の見ひともる野分雲 (上田五千石)

  助手席に野心作乗る野分かな (凡茶)

 また、外で野分が吹き荒れているときの閑かな屋内の様子を詠むと、「きびしさ」との対比で、「さびしさ」の際立つしみじみとした俳句になるようです。
 以下の句を参考にしてみて下さい。

  芭蕉野分して盥に雨を聞夜哉 (松尾芭蕉)
      盥=たらい。 聞=きく。 哉=かな。

 外で野分に揺られる芭蕉の葉と、庵の中で雨漏りを受ける盥(たらい)の音を取り合わせています。
 八・七・五音の字余りの句ですが、「きびしさ」と「閑寂」の共生する名句だと思います。

  今生はつぐなひの生遠野分 (能村登四郎)

  首飾りざらと置きたる野分かな (波多野爽波)


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俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



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posted by 凡茶 at 05:38 | Comment(0) | 秋の季語(天文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする