冬銀河 (冬の季語:天文)

     ふゆぎんが

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        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 単に銀河(天の川)と言えば秋の季語であるが、冬の冴え渡った空の銀河も、「冬銀河」という季語で俳句に詠まれる。

 細かい星々の密度が濃くなる秋の銀河に比べ、白い帯状の光は弱まるが、銀河とその周辺に見られる明るい星(一等星や二等星)の数は、冬の方がはるかに多い。

 なお、銀河(天の川)とは、渦巻き状の銀河系の縁のあたりに位置する地球(太陽系)から見た、銀河系の中心(星の密集する部分)である。


季語随想
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 冬銀河とその周辺には明るく派手な星が多い。

 別名「天狼星(てんろうせい)」とも呼ばれる「おおいぬ座」のシリウスは、太陽系以外の星では最も明るく、青白く光る。

 「おおいぬ座」を追うように冬空をめぐる「こいぬ座」のプロキオンも、黄色い光を放ちとても明るい。

 このシリウス、プロキオンとともに、冬の大三角形を作る真っ赤な星がオリオン座の左肩にあるベテルギウスである。

 ベテルギウスは、直径が太陽の数百倍もある巨大な星で、子供のころ図鑑でベテルギウスと太陽の大きさを比較するイラストを目にした私は、たちまち壮大な宇宙の魅力に取りつかれてしまった。

 このベテルギウスは間もなく星としての一生を終えようとしている老い星で、もしかすると、我々が生きている間に超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こす可能性がある。

 もし、ベテルギウスが超新星爆発を起こすと、月ほどの明るさになると言われており、そうなると昼間でも空に輝いて見えることになりそうだ。

 子供のころから見続けて星が死を迎えるのは、やや淋しいことではあるが、この派手な天体ショーを生きているうちに見たいとうのが正直なところである。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 秋の銀河は、白い光の帯は濃くなるものの、目立って明るい星は少ないため、静かで、神秘的な感じがします。
 ですから、秋の銀河の俳句を詠んだときは、その静かさを邪魔しない言葉を季語と取り合わせてみました。

  銀漢や砂場の山に旗一つ (凡茶)
     銀漢=ぎんかん。銀河・天の川のこと。

 これに対し、冬銀河は、白い光の帯は薄くなりますが、周囲に明るい星星がたくさん瞬いています。
 とても賑やかで、メルヘンチックな感じがします。

 ですから、冬銀河の俳句を詠んだ時は、その賑やかさを生かすような、そんな言葉を季語と取り合わせてみました。

  ポケットにちびし鉛筆冬銀河 (凡茶)



≪おすすめ・俳句の本≫

俳句で楽しく文語文法 山西雅子著
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 文語文法(古語文法)の得意、不得意は、俳句の世界に足を踏み入れるか否かを決める際、結構、気持ちを左右するものです。

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冬の虹(冬の季語:天文)

     冬の虹 冬虹

冬の虹
42冬の季語・天文・冬の虹(ウェブ).jpg
        デジカメ写真


季語の意味・季語の解説
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 虹は夏の季語ですが、稀に冬の空にも現れます。
 冴え冴えとした空に架かるため、冬の虹という季語からは、夏の虹以上に鮮やかな印象を受けます。


季語随想
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 冬の虹は、寒い地上でふさぎがちになっている人々の心を、にわかにときめかせてくれます。

 しかし、冬の虹と出会えるのは、ほとんどの人が数年に一度ほど。
 それも、褪せゆくときは、本当に潔く褪せてしまいます。

 だから、ひところの私は、冬の虹を見るのが嫌でした。
 出会えることの喜びよりも、すぐに私の前から褪せてなくなってしまうことの淋しさの方が大きいですから…
 一度消えてしまったら、もうしばらくの間姿を見せてくれない淋しさの方が大きいですから…

 それなら、はじめから出会わない方がいい…

 そんなふうに考えていた、あの頃と比べると、今の私は、今ここにある幸せに集中し、今という時間を積み重ねていくことの大切さに気付いた分だけ、先に進めているような気がします。

  冬虹のまだある空へ伝書鳩 (凡茶)


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 凍て空に鮮やかに架かる冬の虹は、希望やときめきを人々の心に呼び起こし、また、めったに見られないことから、神々しさをもまとっています。
 しかし、それと背中合わせに「あはれ」「儚さ」を人々に感じさせるのは、その短い寿命によるものでしょう。

 このように、「冬の虹」という季語は、たくさんの感情を人々に抱かせますから、いろいろな言葉と取り合わせ、いろいろな味を引き出してみると、俳句作りがますます楽しくなりそうです。

  十字架を離さぬ鴉冬の虹 (凡茶)
      鴉=からす。

  冬虹や掃き残されしライスシャワー (凡茶)



≪おすすめ・俳句の本≫

俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。



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