七草粥(七草がゆ) (新年の季語:行事)

     七種(ななくさ) 七種粥(ななくさがゆ) 七日粥 
     薺粥(なずながゆ)

55新年の季語・行事・七草粥【俳句】.jpg
        パソコン書道


季語の意味・季語の解説
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 一月七日(人日)に、春の七草を入れた七草粥を食べると、万病に罹らなくなるという。
 俳句では七日粥という言い方もする。

 「芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎょう)・繁縷(はこべら)・仏の座(ほとけのざ)・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)、これぞ七草」という物覚え歌がるが、これとは春の七草が異なる地域もある。
 なお、菘はカブ、蘿蔔とはダイコンのことである。

■ 下で、わが家の七草粥の作り方を紹介しています。(特集記事)


季語随想
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 昔、日本では「若菜摘み」という行事が盛んに行われていた。
 七草粥(ななくさがゆ)に入れる春の七草を摘み取る行事だ。

 この若菜摘みは、私のようなおじさんの手では行われない。
 若菜摘みは、若い女性の手で行われるのがよしとされた。

 今は、この若菜摘みを行う家庭などほとんどない。
 当然のことだ。新暦を西洋から取り入れたため、新年が真冬にやってくるようになってしまったからだ。

 旧暦の時代、新年は立春の頃やってきた。まさに新年イコール新春であった。
 その頃になると、寒い北国は別として、日本の広い範囲で春の七草を摘み取ることができた。
 正月が厳冬にやってくる現代日本では、若菜摘みと七草粥の行事を併せ行うことはできない。

 思えば、新暦の導入は、多くの行事と季節を分断してしまった。
 現代日本では、桃の花が咲く旧暦三月(四月)ではなく、新暦三月に桃の節句が行われる。
 そして、星の美しい初秋ではなく、梅雨の真っただ中の新暦七月に、七夕(星祭)を行う地方が増えた。

 はたして、このまま旧暦を過去の物として葬り去ってもよいのだろうか?

 グローバル化が進む現在、世界共通の新暦を捨てて、日本だけ旧暦に戻せなどという鎖国的なことは言わない。

 ただ、新暦と旧暦を公的に併記し、五節句(旧暦1月7日の人日、3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕、9月9日の菊の節句)のような季節と結び付いた行事は、旧暦で大々的に行えるようにしたらどうか。
 旧暦の節句当日を祝日にするなどして。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 春のはじまりに食べる七草は、人の心をうきうきさせます。
 昔、若い女性の手による「若菜摘み」で野より集められた七草ともなればなおさらです。

 ですから、七草・七草粥という季語を、別の事物と取り合わせると、春の始まりらしい、うきうきした句ができます。

 江戸時代の俳人、志太野坡(松尾芭蕉の弟子)と与謝蕪村の句を例示します。

  七草や粧ひしかけて切り刻み (野坡)
       粧ひ=けはひ。化粧のこと。

  七草やはかまの紐の片結び (蕪村)


 上の2句は「取り合わせ」の句ですが、次の私の句は、七草粥そのものだけを「一物仕立て」で読んでみました。
 うきうき感が上手に出せているでしょうか?

  おかはりのたび青の増す七日粥 (凡茶)


特集記事
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凡茶風七草粥 (わが家のオリジナルレシピ)

 @ 「あご」または「鰹節」で取っただし汁に、薄口醤油で味付けをした「ツユ」を作っておく。
 A 次に「春の七草」をよく洗い、細かく刻む。

春の七草
55新年の季語・行事・春の七草(ウェブ).JPG
        デジカメ写真

 B Aの刻んだ七草を、@のツユに入れ、さっと炊く。決して煮すぎない。煮すぎると若菜の風味が飛ぶ。
 C 丼に飯を盛り、七草を入れたBのツユをひたひたにかける。飯を煮ないのが凡茶流。その方がさらっとしていて、七草の風味が飯に邪魔されない。

七草粥凡茶風
55新年の季語・行事・七草粥(ウェブ).JPG
        デジカメ写真

よろしかったら、参考にしてください。



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初夢 (新年の季語:生活)

     初夢 宝船 獏枕(ばくまくら) 一富士二鷹三茄子

一富士二鷹三茄子 〜初夢に見ると縁起の良いもの〜
54新年の季語・生活・初夢(一富士二鷹三茄子).jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 正月の元日の夜から二日の朝までに見る夢を初夢という。
 元旦(元日の朝)に見た夢を初夢と言わないのは、大晦日から元旦にかけては寝ないのが習いであるため。

 初夢が吉夢であると、良い一年になると考えられているため、宝船の絵を枕の下に敷いたりする。

 また、悪夢を獏(ばく)に食べてもらうために、獏を描いた「獏枕」をして寝ることもある。

 初夢に富士、鷹、なすびが出てくると縁起がよいので、「一富士二鷹三茄子」などと言ったりする。
 富士、鷹と来て、三番目がなすびというのが面白い。
 由縁については諸説あるようなので、代表的なものを列挙してみたい。

 ● 富士信仰の厚い駒込富士神社のそばに鷹匠の屋敷があり、また名物の駒込茄子がとれた。
 ● 徳川家康ゆかりの地である駿河の国で高い物と言えば、富士山、愛鷹山(あしたかやま)、初物の茄子の値段であった。
 ● 富士は「無事」、鷹は「つかみ取る」、茄子は「成す」などの縁起の良い言葉に通じる。

 とにかく初夢は正夢(まさゆめ)になるとよく言われるので、正月二日だけは、ろくでもない夢を見たくはない。


54新年の季語・生活・初夢【俳句】.jpg
        パソコン絵画


季語随想
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 初夢が正夢になるのなら、こんな夢を見てみたい。

 私は「季語博物館」の館長になっている。

 季語博物館の「音の部屋」では、春の鶯の声、夏の河鹿笛、秋の鈴虫の声、冬の虎落笛など、季節の音を実際に聞くことができる。

 「味の部屋」では、春の蕗味噌、夏の鴫焼き、秋のむかご飯、冬ののっぺい汁など、季節の味を実際に楽しむことができる。

 その他、よい初夢を見るための宝船とか、悪い初夢を見ないための獏枕(ばくまくら)も展示してあったりする。

 来館者とは頻繁に句会も楽しむ。

 こんな未来を、初夢で見てみたい。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 俳句はわずか十七文字の文芸ですから、初夢に見た内容を、事細かに説明することはできません。

 そこで、俳句を読む側に、初夢の内容を想像させる工夫が必要です。

  初夢に故郷を見て涙かな (一茶)

 この俳句は、幼いころ実母を失い、継母に馴染めないまま若くして江戸へ奉公に出た小林一茶が、郷里信濃を思って詠んだ句です。

 そんな一茶の生い立ちを知らなかった人でも、この俳句には、初夢の内容と作者の境涯を、あれこれ想像させられたはずです。

 次のは私の俳句ですが、私の見た初夢はどんなものであったか、色々と想像してみてください。

  初夢を秘めをる口へ紅茶飴 (凡茶)



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双六 (新年の季語:生活)

     すごろく 絵双六 紙双六 道中双六 官位双六

双六(すごろく)
54新年の季語・生活・双六【イラスト】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 さいころを振り、出た目の数だけ駒を進ませ、いち早く「あがり」についた者が勝ちという遊び。

 駒の止まったマスに、三マス進めだの、ふりだしに戻れだの、一回休みだのと書いてあり、波乱万丈で面白い。

 東海道五十三次をマスに見立てた道中双六や、駒がマスを進むにつれ官位が上がっていく官位双六など、色々な双六がある。

 ただ、双六がこのような子供の遊び道具、すなわち絵双六になったのは江戸時代あたりらしい。
 それ以前の双六はさいころと盤を用いたギャンブル性の高いもので、今の絵双六とは全く別物だった。


季語随想
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 私は子供の頃、よく自己流の双六を作って家族と楽しんだ。

 例えば、マス目に、「腕立て伏せ10回」とか「歌を一曲」とか、そこに駒の止まったプレーヤーが行うささやかな罰ゲームの書いてある、幼稚な双六だ。
 幼稚だけど現代のテレビゲームに負けない楽しい玩具であった。

 私の手製双六は、大学時代の仲間内でもかなり受けた。

 そこに書いてある罰ゲームは「初恋のエピソードを語れ」だの、「将来どんなプロポーズをしたいか(されたいか)答えろ」だの、大人びたものになっていたが。

 読者のみなさんも、是非、自己流双六を作って、家族、友人、同僚と楽しんでもらいたい。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 双六のような玩具の季語を俳句に詠むときは、無理に上手に詠もうとせず、遊び心いっぱいに詠んでみましょう。

  飴五色駒に用ゐて絵双六 (凡茶)

  元カノと三回休む絵双六 (凡茶)


 前者は自信作、後者は一分で作った戯れの俳句です。



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嫁が君 (新年の季語:動物)

      よめがきみ

嫁が君
56新年の季語・動物・嫁が君【イラスト】.jpg
        パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 正月の三が日の間は、ネズミのことを「嫁が君」(よめがきみ)という。

 縁起を担ぐために使用を避ける言葉を「忌み詞」(いみことば)というが、その避けた言葉のかわりに用いる言葉も忌み詞といわれる。

 つまり、嫁が君は、正月の間のネズミの忌み詞である。

 「無し」を連想させる「梨」のかわりに用いる「ありの実」も、「悪し」を連想させる「あし(葦)」のかわりに用いる「よし(葭)」も忌み詞である。


季語随想
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 害獣とみなされがちな鼠を、めでたい正月の間は「嫁が君」などと親しみをこめて呼ぶ…

 そんな、粋な文化、洒落た文化こそ、日本が世界に誇れる宝だと思います。

 高いGDPや、最高水準の科学技術にも負けない、日本が大切にしたい宝だと思います。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 「嫁が君」という季語を使った俳句は、ネズミに対する愛情を、たっぷりこめて詠みたいものです。

 それもユーモラスに詠むと、季語の真価が出ると思います。松尾芭蕉の、次の俳句を見てみましょう。

  餅花やかざしにさせる嫁が君 (芭蕉)

 正月用に飾った餅花(丸めた餅を木の枝にたくさん飾ったもの。繭玉)の枝を引きずっていくネズミを見て、「嫁が君が、餅花の枝をかざし(髪飾り)として頭に挿しているよ」と詠んだのです。

 ほほえましいですね。

 次のは私の俳句です。

  あやとりの富士を見に着し嫁が君 (凡茶)



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春着(はるぎ) (新年の季語:生活)

     春衣 春小袖 正月小袖 初衣裳

春着
54新年の季語・生活・春着【イラスト】.jpg
    パソコン絵画


季語の意味・季語の解説
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 新年(正月)に着る晴れ着のこと。
 主に女性の晴れ着をさす。
 着ている人も、見ている人も華やいだ気分になる。


季語随想
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 お正月、せっかく春着で身を包んだら、心にも華やかな春着を着せてやりましょう。

 他人の目に映る自分像を気にしてクヨクヨしたり、自分の目に映る他人像と自分を比べてイライラするのをやめる!

 そうすれば、心も華やかな春着を着こんでくれるはずです。

 せっかく心に着せた春着は、正月が終わっても脱がずに着続けましょう。

 心が華やいでると、自分を取り巻く空間も時間も、華やぎ続けるでしょうから。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 与謝蕪村の弟子、高井几董の次の俳句を見てください。

  蛤の煮汁かかるや春小袖 (几董)
      蛤=はまぐり。

 蛤の煮汁が掛かるという極めて日常的な景、つまり「ケ」を詠んでも、春小袖という華やか新年の季語が、俳句を「ハレ」のものに昇華させています。

 春着のという「ハレ」の季語を、「ケ」の景(日常)と取り合わせてみるのは、得策のようです。

 一方、私は、「春着」という「強いハレ」に、金平糖(こんぺいとう)という「ささやかなハレ」を取り合わせて、一句をまとめてみました。

 これはこれで、まあまあの句になったと自負しています。

  春着子の輪の中に置く金平糖 (凡茶)



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